歳の瀬には似合わない本「モンスターにされた生き物たち」(著者:稲垣栄洋 発行所:二見書房)を紹介します。 この著者の本は、今までも「芽生える季節到来/ 足元に何が?」「どちらが優れているかはわからない」「これからは匠の技」で紹介しています。
資料はこちら → モンスター/生き物
p.1 一つ目のモンスターです。外国では「サイクロプス」、日本には「天目一箇命(あまのまひとつのみこと)]という神様や「からかさ小僧」などがいます。象の頭蓋骨を見ると、鼻孔が一つの孔になっているので、これが一つ目のモンスターを想像させたようです。また、鍛冶屋は、片目で炎を見過ぎて失明したり、ふいごを片足で踏み続けて足を悪くするということで一本足になったという説もあるそうです。サイクロプスや天目一箇命は鍛冶屋の神様のようです。「小豆洗い」は小豆を洗うような音がするので、怖がったそうですが、これは「チャタテムシ(茶立虫)」ではないかと著者は推定しています。この虫が障子を這い回ると茶せんでお茶をたてる音がするそうです。YouTubeなどで検索したのですが、残念ながら音源は得られていません。英語名はBookliceと呼びます。liceはしらみですね。日本人はrとlの発音が下手なので、rice(ごはん)を注文する際に、lice(しらみ)の発音をしてしまい失笑を買うようです。
p.2 「鵺(ぬえ)」は、いろいろな動物の特徴を有する架空の動物です。ムササビあるいはトラツグミではないかと言われています。姿はムササビ、泣き声がトラツグミのようです。夜は何を見ても、聞いても怖くなりますね。電灯がない時代であれば、なおさらです。
トラツグミの泣き声は → https://www.youtube.com/watch?v=dJDfSss4f0Y
「狸の金玉は八畳敷き」という言葉があります。陰嚢が8畳もある狸の化け物です。江戸時代の絵を見ると滑稽です。自分の陰嚢を蒲団代わりにしてくるまったりしています。狸の皮は硬いので、金箔を作製する際に用いたようです。金1gを厚み:0.0001mmの金箔に延ばすと約0.5m2の面積になります。8畳にするには、約29gの金玉が必要になる計算です。 全然関係がないのですが、計算してみました。
p.3 「狐の嫁入り」という言葉を聞いたことがあると思います。狐火は暗闇に火がチラチラ燃えている様子を示しています。狐が墓を漁ってくわえた骨から燐光が発するのを見て炎に見えたと言われています。あちこちに燐光があると、あたかも嫁入り行列のように見えて「狐の嫁入り」と呼んだようです。この言葉、天気雨のように説明がつかない天候の場合も使われます。狐が化かしているからだという理由によります。 「べとべとさん」は送りオオカミのようです。オオカミは、縄張りを監視するため人が侵入すると危害を加えず、人が縄張りから出ていくまでついてくるようです。 一反木綿(いったんもめん)は、ムササビのようです。ムササビのお腹は白く、着陸を失敗して人の頭に覆いかぶさった際に、長い布に巻きつかれたように感じたようです。 夜活動するムササビは、鵺(ぬえ)にも登場しました。
p.4 「油すまし」は、アオサギやゴイサギを見間違えたようです。コロナ禍で登場した「アマビエ」は、光る海から現れる妖怪のようです。光る海の動画をご覧ください。海に砂を巻いたり、水を撒いたりするとその衝撃でプランクトンが発光するようです。 幻想的です。
光る海の動画 → https://www.youtube.com/watch?v=xkFEdMYziQA
最後に「件(くだん)」というモンスターです。顔が人間で、胴体が牛です。ニンベンに牛という漢字そのものです。河童のミイラなどは、加工されているようですが、この件(くだん)のミイラは加工されていないようです。 奇形で生まれてきて、顔が人間の顔に似ているようです。この件(くだん)は未来を予言する能力があったと言い伝えられています。丑年もあとわずかです。件(くだん)は、来年をどう予言してくれるのでしょうか? 明るい1年になって欲しいと思います。