品質工学の評価法は必ずしも測定値でなくても可能です。 次の資料をご覧ください。パラメータ名は少し加工してあります。評価点数は実際に研修生が評価した値です。
資料はこちら(Excelファイルです)→ 事例1
品質工学を実施した経験のある方でないと、見方がわからないかもしれませんが、後日また説明いたします。 たまたま、昨年の研修生から問い合わせがありましたので、資料を作成してみました。
制御因子がA~Hです。 架空のパラメータにしてあります。このパラメータは、P~T列にあるように黄色のチューブと水色のチューブを熱で溶融して接合する条件になります。18行の直交表実験を行いますので、水準はAが2水準、B~Hは3水準設定します。 今回は、外観で評価します。P~T列のように1~5のパターンで代表します。理想形が1点です。黄色と水色が境目が分からないように接合できています。もちろん全周にわたってです。点数が2、3、4となるにつれて接合状態は悪化します。4の場合はささくれだっています。 点数5は、接合できていません。
SN比は、右上に式があるように点数をyとするとその2乗したものを自由度f=1で割って分散VTを算出、その逆数の対数をとって10倍します。18行の条件で接合したサンプルを目でみて点数評価したものが、黄色のセルの部分です。半分が5点なので接合できなかったことを示しています。 計測値がないとか接合できない場合、これを「欠測」と呼びます。 慣れないうちは、欠測値がないと、水準値を狭くして、欠測がないように調整しがちですが、半分以上ダメな数値があった方がむしろ好都合なのです。コンサルの先生曰く、簡単過ぎても難し過ぎてもよくなく50点問題の方が、効果の違いが出やすいのです。 この点数よりSN比を算出したものが、M列です。
37~47行目で各制御因子の水準別のSN比を表にしてあります。制御因子Aは9個の平均値、B~Hは6個の平均値です。セルの計算式を見てください。例えば、セルB40内の式は、「=(SUMIF(C15:C32,"=1",M15:M32))/6」となっています。C15~C32の範囲で「1」となるM15~M32の範囲のSN比の合計を6で割っています。「1、2及び3」となるセルが6個ずつあるからです。他も同様です。 各制御因子の水準のSN比の平均値がA~Hで等しいこと、全ての平均値(セルE47)とも等しいことを確認してください。違う場合は計算式をチェックしてください。
49、50行は、要因効果図を描くために、横にSN比を並び替えてあります。
54~69行目は、要因効果図です。 SN比が高いところに赤丸でマークします。これが最適条件です。 緑丸が最悪条件になります。
71~79行目は、最適条件と最悪条件のSN比と平均値との差分を合計して平均値を加算した値を「推定値」として計算する表です。 例えばセルB74には、「=LOOKUP(B73,B38:D38,B39:D39)」の計算式が入っています。B38~D38行の範囲で水準がセルB73の数字と同じSN比を拾ってきます。
82~84行目は、最適と最悪条件の推定値の差を算出して、「推定利得」とします。
34,35行目は、上記最適条件と最悪条件のサンプルを作製したサンプルを点数評価してSN比を計算した結果です。
87、89行目は、確認実験の利得です。
本日はここまで。