トピックス 品質工学

情報は多いほどよいが、簡単に評価したい

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品質工学で1番目に大事なことは「目標機能を明確に」でした。2番目に大事なことは、「評価法を設定する」であると考えます。 この評価法は、以下の要件を満たすべきであると考えます。

  1. 再現性がよい
  2. 評価に時間を要しない
  3. 目標機能を評価できない場合は、代替特性を基本機能として評価する
  4. 静特性よりも動特性で評価する

項目2について: 直交表実験を経験した方なら実感できると思いますが、評価手順が複雑であったり時間を要するものは、再現性に影響を及ぼしたり、実験者の負担が大きくなります。1つの直交表実験にかけるより、複数の直交表実験を実施した方が、有益な情報が得られるのです。

項目3について: 昨日、目標特性を「漏れなく液が流れること」という例を出しましたが、「漏れなく」をどうやって評価するかを考える必要があります。ここは知恵の出しどころになります。例えば、チューブを水中に沈めて、エアーを流して泡が出ないとか、色水を流して漏れを見ます。 「液が流れること」の理想は、片側からチューブに入れた水が反対側から出てくることですね。 例えば、チューブの片側に一定液量の液貯めを付けておき、落差で液が全て落ちた時間を計測するというやり方もできます。 あるいは受け側に電子天秤をおいておき、重量の時間変化を計測する方法もあります。 もちろん、直接流量計で計測する方法もあります。 重量の時間変化あるいは流量計の時間変化をグラフ化できると、単に液量を計測するよりも有用な情報を得ることがあります。例えば、流量変化が大きい場合は、エネルギーロスがあるという情報が含まれているのです。

項目3について: 次の資料をご覧ください → 動特性

p.1 昨日システムへの入力とシステムからの出力の話をしました。 入力エネルギー(電力、荷重、熱量など)を横軸にした際の出力(変位、回転数、析出量など)を縦軸にしてプロットします。 学術的な研究であれば右下のように最小二乗法を用いて近似式を求めて線を描きます。 y切片があるグラフになりますね。 品質工学では、このような近似式を引きません。入力がゼロの時は出力はゼロのはずですからゼロ点を通る直線(場合によっては曲線)を描きます。これを「ゼロ点比例式」と呼びます。稀に、ゼロ点を移動する座標変化する場合もあります。 目標値からのばらつきをみる「望目特性」(静特性)で評価する場合もありますが、できるだけ信号を変化させて出力を評価する「動特性」を評価する方が有用です。 理想が直線にならない場合もあるからです。 品質工学では、横軸を「信号因子」と呼びます。

p.2 品質工学での評価は、出力そのものではなく、SN比で評価します。左下に式が、右下にグラフを示します。グラフの青線が理想で、エネルギーロスが小さいほどSN比の分母が小さく、分子が大きくなりますので、SN比は増大します。SN比が増大するということは、理想に近づいて行くことを意味します。従来の実験計画法の各行の評価値は、出力そのものですが、品質工学はSN比になります。 これが品質工学が優れている特徴です。

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