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理解に骨が折れる内容

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最初からコレですか?」で取り上げた田口先生の論説品質工学の数理」の第1章を読み終えました。かなり骨が折れる内容でした。先生の言わんとしていることはまだ十分ではありませんが、資料にまとめておきます。

資料はこちらです → 品質工学の数理1_2乗和の分解と行列

p.1 品質工学に頻出するデータの「全出力の2乗和(平方羽)ST」を2次形式に当てはめると、係数は0と1となります。yiとyjの掛算においてiとjが同じ場合の係数は1です。それ以外の組み合わせの係数は0です。STの係数は1のみですね。2次形式の係数のマトリクスが「随伴行列」で、STの場合は、対角線が1となる単位行列となります。

p.2 データの平均値からズレの平方和が「誤差の変動Se」です。平均値のyバーを式に代入して、式を変形していきます。式の途中に青枠で囲まれたところがSe=ST −Smであることを示しています。この式を変形すると、右下ST=Sm+Seとなります。この式も、品質工学でよく登場してきます。式をさらに変形して2次式の係数でまとめる(n-1)/n−2/nが係数となることがわかります。対角線が(n-1)/n、それ以外は−2/nを2分の1にした−1/nのマトリクスとなることがわかります。

p.3 ST=Sm+Seをはイメージ図で表した方が理解が早いので図示しました。y=5、y=4そしてy=3というデータの目標値mが0とします。データの平均値yバーは4です。表とグラフを見ていただければ、数値の意味はわかると思います。各々の差分の2乗和(平方羽)を計算するとST=Sm+Seの関係式が成り立っています。自由度は表の右にコメントしておきます。分散は各2乗和を自由度で割って算出します。

p.4 以上は、目標値が一定値の場合の話でした。今度は、比例式からのズレを評価する事例です。右下のグラフのように、データyiがあった場合、比例式y=βMからのズレはyi−βMiで表されます。左側は品質工学での誤差変動 Seを求め、最小になる条件を求めています。右側は、最小二乗法で勾配を求める方法を示しています。式の誘導は異なりますが、結果はいずれも同じ勾配βになります。

p.5 誤差変動Se2次形式の係数でまとめます。青枠はSTの係数なので、p.1と同様単位行列です。赤枠内の随伴行列は、データのx成分Miの積で表されます。品質工学ではMiを信号因子と呼びますね。信号因子の平方和をrとおきます。

p.6 データ(Mi、yiが(1、1)(2、5)および(3、8)とします。 Sβは、比例式上のyiの2乗和です。ST、SβおよびSe計算した結果を下表にまとめました。各々90、82.5及び2.5となり、ここでも、ST=Sβ+Seが成り立っています。

p.7 Seを随伴行列を用いて表すと、Me=E−Mβです。MβとMeが直交する時、MβMe=Mβ(E−Mβ)= Mβ−Mβ=0Mβ=Mβが成り立つ必要があります。随伴行列で実際計算してみると、成り立っていることが証明されます。

直交すれば、2乗和に分解できること田口先生は示したいと思います。分解できれば、信号ノイズの比であるSN比で議論ができるようになります。信号が大きく、ノイズが小さくなるパラメータの水準を探せば良いことになります。次回は第2章を取上げますが、これもざっと眺めた感じでは理解に骨が折れそうです。理解するには、実際に手を動かして計算してみることとイメージ図に描いてみると良いと思います。今回、紙に数式を書いて実際に計算してみました。上記のイメージ図は、理解しやすいように私が描いてみたものです。

今回勉強した田口先生の論説はこちら → 1_2乗和の分解

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