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こんな時期だから頭を働かす

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植物元素よもやま話」(著者:正岡淑邦 発行所:MPミヤオビバブリッシング)を紹介します。酸素O、水素H、炭素C、金属、非金属にまつわるトピックスが書かれており、面白く読めます。私が興味を覚えた話に関する写真をWebsiteから探して、資料を作成してみました。

資料はこちら → 植物元素

p.1 以前「クロロフィルと血液成分、形は似ているが色が違う」でクロロフィルの話をしました。クロロフィルの中心にある金属マグネシウム(Mg)ですが、簡単に外れてフェオフィチンになります。落葉樹は秋にこの形になります。この空いたところに銅(Cu)が入ると銅クロロフィルになります。着色料にも利用されているようです。昆布巻き枝豆銅クロロフィルの液で煮ると鮮やかな緑色になります。よく、10円玉を入れたり銅釜を使うと緑が鮮やかになるのは、これに因っています。 昔の人は経験的に知っていたのですね。

p.2 クラリネットサキ(ク)ソフォンを吹く人は、リードを「トクサ」で磨くと良いという話を聞いたり、実際に実施したことがあると思います。私も一時サックスを吹いていたことがあり、教則本に「トクサ」が出て来ました。それからそのまま忘れていたのですが、この「トクサ」は「砥草」と書くように研磨する草という意味なのです。中央にトクサの写真、左上(a)は断面写真です。(c)の赤い部分にはガラス成分(Si化合物)が付着しており、これがサンドペーパーのような役目をするようです。ようやく、リードをトクサで磨く意味がわかりました。昔の人は、木工に使用しており、サンドペーパーより目詰まりがなく(内側の茎の中に吸収するため)精密研磨に適しているようです。 以前「芽生える季節到来/ 足元に何が?」でススキの葉のギザギザ部分にガラス成分(Si化合物)があることを説明しました。この他にはにもこのケイ素化合物が付着しているそうです。 これらの植物珪酸体を「プラントオパール」と呼びます。植物により形が違うことを利用して、古代の稲作の歴史を追跡する良い指標になるようです。NHKに解説の動画がありました。

プラントオパールの動画 → https://www.nhk.or.jp/rika/micro/?das_id=D0005100112_00000

p.3 メルカプタン(メタンチオール)というと腐敗臭の嫌な臭いと思いますね。生命に関わるので、人間は遺伝的にこの臭いを警戒するようにできています。エタンチオールは世界中で一番臭いと言われており、ガス漏れの検知剤としてプロパンガスなどに添加されているようです。果物の王様と言われているドリアンの匂いは1-プロパンチオールです。チオール基(-SH)がついていると臭そうです。イオウ(S)があると臭いものが多いですね。タマネギニンニクにもイオウが入っています。 ところが、右下に記載の3MH(3-メルカプトヘキサン-1-オール)は、グレープフルーツのような柑橘系の匂いになるようです。フランスのボルドー地方のソーヴィニヨンブランという品種のブドウの香りに含まれており、甲州ワインに類似のワインがあるそうです。 香水も量が多いと嫌な臭いになりますが、微量だとよいのでしょうか?

p.4 左上の写真は蓮の葉を杯にして、お茶や酒を飲む風習です。「象鼻杯」と「碧筒杯」と呼ぶそうです。右上は「ヘビノネコザ」と「ヤブムラサキ」の写真です。金(Au)を蓄積する性質があるそうです。金鉱を探索する時に、利用されるようです。 左下は秋田杉の断面写真です。地上何十メートルもの高さに本当に水を吸い上げているのか?と言う疑問について研究した結果、葉に吸着した露などの水分を貯める組織(移入組織)が発見されました。詳細は、以下のページをご覧ください。

研究ニュース → https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2015_10_27_01.html

植物はいろいろな元素を上手に利用していることを、この本を読み知らされました。前にも言いましたが、植物は動物より動けない分、知恵が働きますね。コロナで動けない時期だからこそ、人間も頭を働かせる必要がありそうです。

 

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