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別世界で解く

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偏微分方程式を作成するところまで説明しました。 本日は「ラプラス変換」を用いて解くことを説明します。この方法は数学的なセンスが必要なので、今まで私は扱いやすい数値計算を選んで来ました。以前のブログ「情報の積み重ねで未来を予測する」をご覧ください。「差分方程式」を用いれば、Excelでも計算できます。 今日は「ラプラス変換」の方法を、以前紹介した「道具としての微分方程式」(著者:斎藤恭一 発行所:講談社)を読んで理解した部分を資料にしてみました。

資料はこちら → 偏微分方程式その4

p.1 ラプラス変換の基本式が一番上の式です。以前、何回かに亘って説明した「フーリエ変換」の式によく似ています。この「e-st」のようにネイピア数に「-at」の累乗が掛かっている関数は、微分⇔積分しても形が変わらないので、重宝な存在ですね。「眠くならない数学の本」で紹介した「仕事に役立つ数学」でも頻繁に出現します。 上述の著者は、f(t)をラプラス変換してF(s)を求める際に「U」の字を横にした簡略表現をしています。F(s)を逆ラプラス変換してf(s)に戻す場合の向きが逆になります。変換する前が「オモテ」、一つの変数でラプラス変換すると「ウラ」、二つ目の変数でラプラス変換したものを「ウラ」と呼んでいます。著者の斎藤さんは面白い方で、いろいろなギャグが登場してきますので、是非、読んでみてください。一回目変換すると、時間変数が「t→s」に、二回目変換すると位置変数が「z→σ」に変わります。

p.2 ラプラス変換逆変換は、表のようになっています。数学の好きな方は、導くことができます。ラプラス変換が優れていることは、この表の下から3つ目や2つ目のように1階微分2階微分簡単な関数に変換されるところにあります。ウラの世界で簡単な式にして解いてオモテに戻すことになります。

p.3 昨日、無次元の偏微分方程式の話題を出したのは、この上にある式を用いて解く説明をするためでした。偏微分方程式を解くには、初期条件境界条件が必要ですので、書いておきます。境界条件その2は青い方を用います。

p.4 上の表が使用する変換表です。オモテの偏微分方程式の左辺及び右辺別々にラプラス変換します。左辺では初期条件を用いてθの項を消します。右側では位置変数でラプラス変換しています。「ウラ」です。右辺のこれ以上変換できない微分項(ピンク字)が出て来ますので、とりあえずg(s)とおき、後で求めます。右下がここまでの結果です。境界条件も使用できるようにラプラス変換します。p.5の上半分をご覧ください。

p.5 整理してV(s,σ)の式にします。

p.6 「ウラ→ウラ」に逆変換します。「cosh√s ξ」と「sinh√s ξ」はネイピア数で書き換えます。境界条件その2を用いてg(s)が導くことができます。

p.7 「ウラ→オモテに逆変換します。変換すると「erf」という誤差関数が出て来ます。「1−erfx」は相補誤差関数と呼びます。θ=で始まる式が偏微分方程式の解です。 右側にこの式を用いた事例を示します。 プリンにカラメルを載せた際に、カラメルがジワジワとプリンにしみ込んでいく状況を式に表してす。プリンのヘッドの位置座標がz=0で下に向かってz軸が正です。t時間後のzの位置でのカラメル濃度がCです。Lはプリンの高さDはカラメルの拡散数です。この相補誤差関数1−erfxは、eーxの関数より早く減衰します。

いかがでしたか? ラプラス変換を偏微分方程式を解くために使ったのは、初めての経験でした。 解くのが困難な問題を別世界で解いて元に戻すとは、上手く考えたものです。 フーリエ変換もそうでしたね。 難しい問題は、一度、別世界に持っていけば解決するかもしれませんね。

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