一昨日に続き、座標変換の話です。今回は、同じ座標系の中で変換後、別の座標系に変換する「P-1AP」変換の話です。この形がいろいろな場面でよく登場してくるのですが、この意味を説明した本がなく困っていたところ、先日紹介した「まずはこの一冊から意味がわかる線形代数」(著者:石井俊全 発行所:ベル出版)で説明されています。この部分を資料にまとめてみました。
資料はこちら → 線形代数その3
p.1 元の座標の(3,7)をベクトルa、b及びベクトルc、dの2組の基底ベクトルの座標で表す斜交座標での座標を求める説明です。ベクトルa、bの係数k、lを算出し、これがa、bの斜交座標の座標(-1、2)になります。同様にc、dの座標を算出すると(5、4)となります。
p.2 ベクトルc、dをベクトルa、bで表します。この結果を用いると、ベクトルa、bに基底の取替え行列Pを掛けるとベクトルc、dが得られます。
p.3、4 ab平面上の座標(x、y)からcd平面上の座標(k、l)を求めるには、取替え行列Pの逆行列P-1を(x、y)に掛けると得ることができます。
p.5 基底ベクトルe1、e2を取替え行列Pを用いてベクトルa、bに変換します。e1、e2平面にある座標(x、y)がa、b平面上の座標(z、w)に対応している場合、P-1(xy)=(zw)となります。 次に、両辺にPを掛けるのがミソです。(x y)=P(z w)となります。 同じe1、e2平面で、(x、y)から(x’、y’)に変換する表現行列をAとすると(x’ y’)=A(x y)です。 これらを組み合わせすると、(z’、W’)=p-1AP(z、w)が得られます。これはab平面での変換で、P-1APが表現行列なのです。
p.6 以上の変換を図にしたものです。 旧基底と新基底の座標間の変換を示しています。基底が異なる座標変換がPあるいはP-1を掛けます。 同じ座標系での位置移動には表現行列AあるいはP-1APを掛けるのです。 このP-1APはまた便利な使い方があります。また次回に。