ワイブル解析の手順、統計ソフト、そしてバスタブ曲線との関わりについて説明してきました。最後は、α、βの入った複雑な式の導入について、イメージがつくように説明したいと思います。通常、式の導入説明をしてから解説するパターンが多いですが、この順番が学習する上で嫌になるのではないかと思い、敢えて最後にもってきました。過去私自身、最初に式を理解してからでないと先に進めず、断念することが多かった反省があります。最近は、先ず試してみるを先に実施後、その後深堀するようにしました。この方が楽ですよ。先ずは、資料をご覧ください。
資料はこちら → ワイブル分布その4
p.1 先週の「信頼性は?」で「信頼度」がでてきました。この信頼度の式は指数関数で表されます。稀に起きる事象は「ポアソン分布」を使うという話を以前「稀に起こる?」「まれに起こる最尤値は?」で説明しました。危機が故障しない確率は、ポアソン分布の式にx=0を代入して求めます。これが信頼度Rになります。ポアソン分布のλと区別するため故障率をλ*のように*を添字としてつけときます。以後の資料では*を外してあります。故障率が0.2件/年の機器の今後5年間の信頼度Rを計算すると0.37となります。故障率に時間の項が無い場合は、信頼度=1−故障率となります。
p.2 信頼度Rの式算出の別解です。「信頼性は?」の添付資料のp.3の再掲です。
p.3 直列モデルと並列モデルについて、信頼度を算出する式を示しています。直列の場合、1個の信頼度がR1でn個繋がっている時、信頼度はR1^nとなります。2個並列の場合は、信頼度は1−(1−RA)(1−RB)と表されます。
p.4 ワイブル分布の式は、ワイブルさんが考案しました。リングが繋がった鎖(例、自転車のチェーン)があったとします。どれか1個のリングが壊れても鎖が機能しません。これを「最弱リンクモデル」と呼びます。1個のリングの信頼度が0.9の場合、2個の鎖の信頼度は0.9×0.9=0.81と計算されます。1個のリングの信頼度をR=e^(-λt)の場合、n個のリングが繋がった鎖の信頼度は直列モデルなので、Rn=e^(-nλt)となります。故障率=1−信頼度で表されるので、この鎖の故障率は1−e^(-nλt)です。 この形どこかで見たことありませんか? 昨日及び1昨日のブログで出てきた累積分布関数と類似していますね。同じ意味なのです。ワイブルさんは、こう考えて式を導出したのです。
ようやく、一連の故障率、信頼度の話が終わりました。まだまだありそうなのですが、この辺にしておきます。是非、商品設定や工程の機器メンテナンスに使ってみてください。