「右肩下がりのパターン」で「劣化パターン」を取り上げましたが、実際はなかなかフィットしないことが多々あります。この場合の処理の仕方を説明します。
資料はこちら → 劣化パターンその2
p.1 左上のように、温度3点の経時変化データにフィットする関数を求めたいことがあります。先ずは、Excelの近似曲線を順番に当たっていきますが、右図のようにどれもフィットしません。
p.2 そこで、関数を作ってみようと思います。方針は、①劣化パターンに類似したものがないか探します。今回は、指数減衰形に似た形状をしていますので、e-atの形が含まれていそうです。②初期値をb、③一定値に収束するので収束値をcとおきます。赤字の式を考えると、t=0のときy=b、t=∞のときy=cになります。赤字の式を左下のように書き換えて、右下の表で算出した係数値を代入してグラフに曲線を描きました。やや実測値と曲線の間には乖離があります。
p.3 指数形状に対称の形状となる対数の近似式を考えてみます。変化量yの逆数を計算(左下表)して、経時tに対してプロットしました。Excelの対数近似式(1/y)=p・ln(t)+qを当てはめてみるとフィットしました。近似式の係数pの対数を絶対温度の逆数に対してプロットするとほぼ直線関係が得られますので、アレニウス式が適用できます。今回は、40、60及び80℃の劣化データでしたが、これ以外の温度での劣化を推測することが可能になりました。
以上のように、劣化パターンに合致するものがなくても、いろいろ工夫して関数を作成してみましょう。
本日使用したExcelファイル → 劣化パターンその2