現象を数式で表す話は、「眠くならない数学の本」「式を立てて考える」などで何回か取り上げました。式で表すことができれば、予測に用いることができます。今回は、劣化の予測式を推定するため、劣化のパターンを調べてまとめてみます。
資料はこちら → 劣化パターン
p.1 ほとんどの製品や部品の機能は左図のように右肩下がりのように時間と共に機能が低下してくると思います。右図のように右肩上がりになるのは、劣化によって故障率が上がる場合のパターンが多いのではないでしょうか? 劣化量は増え、機能は低下するので、表裏一体ですね。
P.2 左の3つは、右肩下がりのパターンとその数式です。同じ数式でも、係数aやbにより右つの図のように右肩上がりになるケースもあります。
p.3 右肩上がりのパターンと数式を集めてみました。
p.4 右肩下がりの事例を集めてみました。プラスチック・ゴムの酸化や紫外線劣化、金属疲労や半減期のある放射崩壊もそうですね。右下のような忘却曲線も右肩下がりのパターンです。赤い矢印のように忘れてきたら復習すると忘却曲線は上方にシフトしていくので、記憶を定着させるには、時折、メモを読み返すなどの努力が必要です。この忘却曲線の縦軸は「節約率」です。知識を再び学習する際に「どのくらい時間を節約することができるか」を指します。
p.5 同じ右肩下がりですが、乾電池や太陽光パネルのパターンは少し違うようです。右下のように、コンクリートは一定期間後に劣化が急速に進むパターンになっています。最初は劣化が少ないパターンです。
p.6 金属の変形であるクリープ現象は、左図のように経時的な右肩上がりを示します。トンネル内のコンクリート壁は、ロジスティック関数のように劣化していきます。
p.7 軸受の劣化パターンの数式を載せておきます。玉受軸受けか転がり軸受けかによる劣化速度は変わってきます。
以上のように、物事の劣化パターンを数式で表すことができれば、寿命の予測が可能となり、保全活動も容易になります。劣化パターンがわかれば、係数調整によりフィッティングができます。
今回の劣化パターンの数式をExcelに入れておきますので、係数をいろいろ変えてみてください。
Excelファイルはこちら → 指数減衰関数