トピックス 品質工学

貴重な動画です

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アニメで解説」で品質工学をアニメで解説していることを取り上げました。noteのページでなくYouTubeのサイトにアクセスすると、品質工学の創始者である田口玄一先生の講演動画がありました。非常に貴重です。1時間42分ほどの講演ですが、眠くならずに聴講できました。映像は見にくいですが、話は含蓄のある内容でした。1時間も見てられないという方のために、要約してまとめてみました。

動画はこちら → https://youtu.be/HR-eaGK42OQ

要約した資料 → 田口先生講演要約

p.1 技術者が陥りやすい進め方について、言葉を変えて説明されています。標準状態で技術検討した後に、種々の条件で良し悪しを評価していませんか? 標準状態とは、負荷をかけない状態です。これはダメな方法なのです。もし、問題点が見つかった場合は、対策して最初の設計を変えてしまうことになります。設計を変えて評価すると別の問題が生じて、俗にいう「もぐらたたき」になっていきます。いつまでも解決せずに、どこかで妥協せざるを得なくなってしまいます。先生は、そうならないためには、製品技術を検討する前の技術を開発する必要があると言っています。そのためには、機能(機械や製品に期待していること)を明確にし、顧客が好まない品質技術的に検討する必要があります。道路状況が変わっても、加速性能が落ちない技術を見出す必要があります。道路状況はノイズです。ノイズは、①使用状態、劣化あるいは③個体差などがあります。ロバスト設計は、このようなノイズに強い設計のことです。

p.2 射出成形の金型は高価なので、いろんな金型を作製して検討することはできませんね。この場合は、どうあるべきかを考えてテスト金型で検討するとよいと言っています。ゲート位置を端にして成形した数種類の板厚の成形品をテストピースとして各ポイントの収縮率を計測して、どうしたら隅々まで均一に樹脂を流し込みできるかの技術を確立することが必要だそうです。機械加工については、切削に用いる電力と切削量の動特性を評価します。消費電力が小さいほど理想の切削条件とします。

p.3 以前「窓は広い方がよい」「窓の枠が大事」で機能窓を説明しましたが、事例を3つ挙げます。1つ目は、薬が正常細胞がん細胞に及ぼす効果を評価して、機能窓が広い条件を割り出す手法です。機能窓は細胞が死滅するかしないかの境界を調べます。正常細胞に対しては、投薬回数を増やしても死滅せず、がん細胞については少ない回数で死滅して欲しいですね。がんに対する効果を「機能」、正常細胞に対する効果を「ノイズ」とすると、機能窓=機能/ノイズで算出し、機能窓が広い薬を最適とします。機能/ノイズは、SN比と同じ意味合いですね。分母のノイズを小さく、分子の機能が大きくする、つまりSN比を大きくしたいのです。

p.4 事例2芝生に散布する除草剤も、同じ考え方で検討することができます。事例3は、プリンターの紙送り機構に関する検討です。ローラーが紙に接触するようにトレイにバネが接続されています。評価法は、いろいろあります。①一番簡単な方法は、ノイズとして静電気を帯びやすく薄い紙をN1、重い紙をN2にして、紙送りが不可、正常に紙送り及び2枚以上紙送りする状況をバネの力を変えて評価します。正常に紙送りする◯の機能窓が、どんな紙質であっても広くなるバネを採用します。②2つ目の方法は、信号をローラーの動いた距離、出力を紙が動いた距離として、その差が小さくなる条件を最適とする方法や③多くの紙を紙送りする時間を計測し、時間が短い条件を最適とする評価法もあります。評価法は、効率化・精度を工夫します。

p.5 地震に強い構造体を作りたい→ 実物大で実験するには費用がかかり過ぎる→ 犬小屋くらいの構造体で評価するという方針で評価します。品質工学では、強度を計測せず、①力と変形量の動特性評価あるいは②振動前後の変位を計測し、塑性変形なのか弾性変形なのかを見極めます。 真値が不明な場合は、評価系を設定するのが難しいですが、何を計測するか、何をばらつきにするか、事前に十分検討する必要があります。

 

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