「変化を嫌う人を動かす」(著者:ロレン・ノドグレン、ディヴィッド・ションタル)を紹介しました。推進力の燃料を増強することに注意が向けられますが、抵抗成分にも着目する必要があると書かれています。この抵抗の要因の一つは、「惰性」があります。現状を維持したいという特性です。例えば、以下どう思いますか? おそらく現状維持派の方が多いと思います。
- 無人島で餓死寸前です。バナナに似た実と鮮やかなオレンジ色でトゲに覆われた実のどちらを食べますか?
 - オンラインショップで鞄を検索すると多くの商品が表示されます。ブランド品を選択しませんか?
 - 売れている商品のロゴを変更したら、売上が落ちた。
 - お気に入りのシャンプーや化粧品あるいは車のメーカーを変えない。
 
では、「惰性」をどう克服するか? 以下の戦略が説明されていましす。興味がお有りの方は、上述の本をお読みください。「茹でカエル」のごとく、ゆっくりと小さい変化を積み重ねたり、似たもの同士で親しみを持たせて「抵抗」を取り除くことが有効のようです。 NHK朝ドラ「舞い上がれ」でも地道に信頼を得ることが大事だと言っていましたね。数学の積分の世界ですね。
- 何度も繰り返す
 - 小さく始める
 - 伝達者をオーディエンスに似せる
 - 提案を典型的なものに似せる
 - 喩えを使う
 
面白いのは、スティーブ・ジョブスがパソコンを世の中に浸透させるにあたり、「喩え」を用いているのです。パソコンが登場する前は、紙、ペンを用い資料をファイル・フォルダに入れ、机の上に置いていました。この名前をパソコンにそのまま、取り入れたのです。資料→ドキュメント、ファイル→ファイル、フォルダ→フォルダ、机の上→デスクトップとしたわけです。 こうしたことにより、物理的空間からパソコン内の仮想空間へ抵抗感なく移行することに成功したのです。