昨日紹介した「ラジオ深夜便 うたう生物学」(著者:本川達雄 発行所:集英社インターナショナル)の中から1つだけ話題を取り上げます。
「ナマコ」の話です。ナマコは近づいても逃げないのに、なぜ生き残れるか?という疑問です。本川先生はその疑問を研究テーマにしました。生き残れる理由は、①魚に効くホロスリンという毒を有している。人間には無害だそうなので、安心して食してください。②ただし、ホラ貝などの大きな巻貝には毒が利かないので、丸呑みされてしまいます。ところが、ナマコは外皮を瞬時に硬直させて、内面の柔らかい部分が外皮から離れて、するりと抜け出して貝から逃れるそうです。そして、直ぐに外皮が硬く再生します。 ナマコを輪切りにすると竹輪のようになっていて、体液が詰まっていて腸がプカプカ浮いています。ナマコは砂を食べて、付着している動物の卵やバクテリアを栄養源にしています。微量の栄養だけで生きていけるのは、同程度の大きさの魚の10分の1、ハツカネズミの100分の1しかエネルギーを使わない省エネモードの生き物なのです。ナマコには、眼鼻耳、心臓、脳がないそうです。腸、皮と生殖器しか持っていないようです。先生は、「ナマコは頭がいい。でも脳がなかったな」と結んでいます。 いかがですか、「ナマコ」一つとっても知らないことがたくさんあるのですね。このように疑問をもつところから新しい発見・研究が芽生えていくわけです。
ナマコをちぎる動画 → https://www.youtube.com/watch?v=UaA5Cl7kQ_Y