先週「最適間隔は経済的損失で決まる」で、点検・修正頻度算出の式を導きました。本日は実例で計算してみます。資料をご覧ください。p.7及び8は先週の資料の再掲です。
資料はこちら → 校正王式その3
p.1 マイクロピペットの校正です。黄色の網掛に状況をまとめておきます。これらの情報を基に計算するだけです。点検あるいは修正間隔は、製造設備の場合は生産個数になりますが、ピペットの場合は使用回数になります。間隔というと時間をイメージしますが、異なりますのでご注意ください。あとは、読めばわかりますね。点検の労務は時給としては高いですが、専門技術がある人だと思ってください。ここは別の値でも構いませんので、設定ください。必要精度も使用の要求レベルで設定ください。 以上の数値をp.7及び8の式に代入するだけです。
p.2 デジタル電圧計の事例です。p.1と同様に最適点検間隔nと修正限界Dを算出後、平均的な修正間隔uを算出すると約4.8年となり、償却期間5年とほぼ合致しています。
p.3 ロックウェル硬さ試験機を用いて部品検査する事例です。最適点検間隔は1日の生産数20,000個を考慮して、44、785ではなく40,000個としています。2日に1回の点検になります。 算出した数値にすると端数になって管理が難しくなるので、切りがよい数値に設定します。
p.4 事例3について、現行の点検間隔・修正限界における品質損失L0と修正後の点検間隔・修正限界における品質損失Lを算出すると、 [円/個]損失が削減、5,640,000[円]が現行より利益をもたらします。
p.5 半導体圧力素子製造における計測について同様に計算していくと点検間隔nの方が修正間隔uより小さくなってしまいます。この場合は、点検と校正(修正)を同時期に行うことにします。
p.6 事例4の現行と修正後の品質損失の差です。この場合も修正後13万円利益が生じます。
これらの算出値は絶対的なものではありません。根拠がなく点検頻度を決めることが多いと思いますが、今後は品質損失を意識した根拠設定を考えてみてください。