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工程能力をどう評価するか?

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工程能力評価について説明後、統計ソフトMinitabの使い方正規分布でない(非正規)工程能力の評価法を説明します。

説明資料はこちら → 工程能力

p.1 過去ブログの「安定性はイメージが大事」で説明していますが、簡単に復習しておきます。 工程能力指数が両側規格がある場合、片側規格の場合により3種類の式で表すことが可能です。片側規格の場合は、分母が3σとなり分布の平均値を用いる点に注目してください。両側規格の場合は分布の平均値が式内にありません。したがって、分布が偏っている場合Cpは不具合が生じてしまいますが、しばらくCpで説明していきます。判断基準は下表のとおりです。

p.2 判断基準の表は覚えなくても結構です。このページを覚えてイメージするだけで判断基準は計算で求めることができるのです。左下の図から説明します。正規分布のグラフは平均値を中心にして±3σの位置で0に近づくように描けます(0ではありません)。Cpを求める式の分母は6σですね。つまり6/6=1Cpですね。右上の図をご覧ください。Cp=1の分布よりもばらつき(σ)が小さくなっています。平均値±4σが上下限幅になります。上下限の間が8つなので、8/6≒1.33となる訳です。いつも分母の6で割ります。さらにばらつき(σ)小さくなると、平均値±5σが上下限幅なので、10/6≒1.67になります。左上は逆にばらつき(σ)が大きくなって分布が上下限幅からはみ出ています。平均値±2σが上下限幅なので、4/6≒0.67になります。いかがですか?数値覚えなくてもイメージ沸きますか?

p.3 上下の規格値平均値との差を各々で割った2つの値のうち小さい方をCpkとします。右下以外は全てCp=1ですが、左に偏った左上の場合、あるいは右に偏った右上の場合のCpk=0.67です。偏った場合Cpk=1.33を満足するためには、右下のようにばらつきが小さい分布が求められます。 CpでなくCpkを使う理由は理解できますね。

p.4 Minitabを用いて工程能力を算出してみます。①統計→品質ツール→工程能力分析→正規を実施し、②~⑤と進むと右のような実行結果が得られます。上限規格限界を6と指定したので、Cpk=(6-平均値)/3σで算出できます。今回はたまたま、PPU、Ppk、CPU及びCpk何れも同じ数値です。下限規格がないので、PPU=PpkCPU=Cpkとなります。PpkCpkの違いについては、過去ブログ「PpkとCpkの違い 知っていますか?」をご覧ください。取り扱うデータ範囲が異なります。今回はデータ範囲が等しいため、PpkCpkとなりました。

正規分布でないデータが経時的に得られる場合に、工程能力をどのように評価するればよいか?という質問を受けました。 正規性の有無については、私もあまり意識していなかったので、検討してみました。以下に、私の現在の見解をまとめてみました。 新しい知見が得られたらまた報告いたします。

p.5 21か所の工程のデータをMinitabでヒストグラムにしてみました。こういう場合、Minitabはあっという間にヒストグラムを描いてくれて便利です。赤線が正規分布だとして描いた曲線です。確かに、ヒストグラムの形状は正規分布からはズレています。 右に一つの見解を記しています。「非正規であっても正規分布とみなして工程能力指数で評価してもOK。その代わり、工程能力指数はCpでなくCpkを用いること」 ただし、工程の管理規格幅が狭く、得られたデータのばらつきが大きい場合は、工程能力指数はかなり小さくなってしまうかもしれません。CpでなくCpkを用いるのは、データの偏りがある場合に適しているからです。

p.6 2つ目の見解です。 正規分布でない(非正規)の場合、Minitabに良い解析法がありますので、紹介します。⑦統計→工程能力→非正規をクリックとし、⑧見たいデータ系列を選択、⑨下限と上限規格を入力してOKをクリックすると右図のようなグラフを描き、右上に工程能力指数を表示してくれます。

p.7 Pp、PPL、PPU及びPpk表示されています。Cp、CpL、CpU及びCpk算出式は同じです。 今回下限値は0としたため、PPL及びPpkは無視してください。PPU=3.51なので1.67より大きいので、安定した工程であると判定します。赤線のような非正規分布でも工程能力を解析する優れものです。 ただ、計算過程が不明なので、私にとっては、やや気持ちが悪い部分が残されています。計算手法がわかり次第、追って報告いたします。

p.8 「Box-Cox変換」という手法があります。非正規分布を正規分布に矯正する手法です。Minitabにもその手法が搭載されています。実行結果です。上が実際のヒストグラムで、下が矯正後のヒストグラムです。どのような場合に、この手法を使うかが不明ですので、調べてみます。分布形状が異なるので、違和感はあります。

私としては、Minitabの非正規の工程能力評価で良いと思いますが、最初の見解でも十分であると考えております。

 

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