研修を実施する側としては、「俯瞰的に見てね」「いろいろな視点から見てね」とアドバイスしていますが、自分たちも狭い考えに囚われていることがあり、ハッとすることがあります。 キャップをコネクタに嵌（は）める際に、簡単に外れないけれど少し力を入れれば外れる嵌合状態（10～30N)にする課題があります。材質が、青色、ピンク、緑及び白の４種類があります。 上述の嵌合状態を満たすために、どの材質を選ぶかという課題もあります。 現在の製品では緑色のキャップが使われています。この事実を知っているためか、８割以上が４種類の内から緑色を選定するのです。 ピンクと緑色の材質は同等な物性値を持っているにも関わらずです。 青と白は両極端な特性ですので、敬遠されます。特に白は、消去法により最初に姿を消してしまいます。 品質工学で、検討するとほぼ全員が青が良いというのです。 今回の課題は、嵌合状態に幅（10～30N)を持たせるような条件設定を求めていますので、特性が中庸な緑やピンクを選定することになるのかもしれません。 例えば、どのような押し込み圧でやっても、嵌合状態が20N付近の物が得られるのであれば、それでも目的は達成するのです。 この方が製造条件設定は楽かもしれません。 現在は押し込み圧力制御ですが、ストローク制御にしても良い訳です。 両極端の材質、青あるいは白を用いてストローク制御という方法もあり得るわけです。 このような考え方を研修生に期待したいですし、我々講師も、その考え方を否定せず、むしろ歓迎したいものです。 現状がベストかどうかはわからないのです。因みに、「俯瞰的」は英語では「Bird's-eye view」とも言うそうです。上手い表現です。