トピックス 品質工学

ダメな状態が役立つ

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4/6のブログ「世の中、直線だけではない」で成形の転写性の話をしました。 実際に、事例A(3年前)と事例B(2年前)の研修で実験してみました。 研修生の実験データを比較してみます。

資料はこちら → 成形(品質工学)比較

p.1 制御因子の水準、信号因子はダンベルの形状の成形品の厚さ及び全長としています。誤差因子は、樹脂の流れ性(MFR)が異なるPMAPMB(仮称)を用いました。 事例Aピンク事例B枠内の水準値を比較してください。 事例Aでは、成形担当者に水準幅を決めてもらいました。 成形担当者は、経験的にVP切り替え位置が6.25mm辺りが良いと考えたのでしょう。 18行全てで成形品の形状が正常なものが得られるように無意識の内に水準幅を狭くしています。 このことは後で影響が出て来ます。 事例Bは、1年後の研修時に、水準幅を拡げるように変更しました。

p.2 事例ABSN比を比較すると、SN比のMINピンク、MAXが枠です。その差を計算すると、事例Bの方が広いことが分かります。

p.3 生データをプロットした18枚のグラフについて、事例AとBで比較してみます。 p.2で求めたSN比のMINとMAXのグラフに各々ピンクを付けてあります。事例AのL1と事例BのL9を比較すると、明らかに事例Bの方がSN比が悪いことが分かります。 以前のブログで「50点問題の方が効果が見える」という話をしましたが、 まさにこの事例Bの方が良い結果が得られるのです。事例Bでは、ダンベルの形にならず、半分ぐらいしか樹脂が入らない「ショート」も幾つかありましたし、「バリ」と言ってはみ出してしまう成形品も出現しました。このように、不完全な成形品がL18のいくつかの行に現れる方が、良い結果が得られるのです。水準幅を拡げるだけでなく、誤差因子で厳しさを調整することも効果があります。

p.4 要因効果図を事例AとBについて並べます。 確認実験の利得をご覧ください。 事例Aの利得は3.9事例Bの利得は22.6となり、事例Bの方が要因効果図の信頼性が高いことを示しています。 制御因子CVP切替位置で、因子E保圧時間ですが、水準に対するSN比の大小関係が異なっています。 成形担当者によると、制御因子A~Hの中で成形性の良し悪しに一番影響するのはVP切替位置だそうです。 品質工学は、成形経験者でなくとも、経験的な知見を要因効果図で示すことができました。 改めて品質工学の素晴らしさが認識できた事例です。

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