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直交表の意味は?

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本日のブログは少し専門的な内容になりますが、私もようやくイメージがついてきたので説明します。 研修生に品質工学を教えているのですが、実験に使用する「」に関する疑問が多いので、参考になればと資料を作成してみました。もともとこの「」という概念は数学から来ていて、2つのベクトルが直角になっている状態とイメージしていただければわかりやすいです。この概念が理解できると、「フーリエ変換」理解の助けにもなります。

説明資料はこれです。 → 直交表

p.1 「」ではありません。会社人間は、つい会社に立ち寄らないで出張する「直行・直帰」の「直行」を使ってしまいます。私の先生であるコンサルの方にも、よく注意されています。

p.2 3つの疑問について、私なりの解釈を述べていきます。

p.4 制御因子A、B、C、D各々水準1、2及び3があった時に、各々の因子でどの水準が一番SN比が高い(安定、ばらつきが小さい)かを示す「要因効果図」がこのようになっていたとします。平均値をゼロとします。

p.5 品質工学では、相互作用が出やすいので使用しませんが、L9の「直交表」を用いて説明します。左上が直交表の割付表です。そこに、p.4で示した各制御因子の水準のSN比を代入したものが、左下の図です。実験1~3、実験4~6、実験7~9のグループに分けて制御因子Aだけに着目するとA1は10+10+10/3=10、A2=(-6)+(-6)+(-6)/3=-6、同様にA3=-4となります。 これに対して、B、C及びDの効果は0(ゼロ)となり、A列だけに着目すれば水準1、2及び3の効果は評価できることがわかると思います。

p.6 制御因子Bについても同様です。B1に関する実験は、1、4及び7、B2は実験2、5及び8、B3は実験3、6及び9を集めてきて平均すればよいわけです。L12やL18の直交表いずれでも同じです。

p.7 上述の説明は、数学的な説明はないのでイメージしていただければ結構です。もう少し深堀したい方は次ページからお読みください。

p.8 この資料は昨日紹介した「無料で学べるオンライン大学講座」の統計講座での資料を引用しています。 x軸が民営借家の割合、y軸が未婚割合です。各地域でのデータについて、xとyの相関をグラフに描いています。 Excelでやれば相関係数を算出すれば直ぐに答えが得られます。 若い技術者には、相関係数の原理を理解しておいてもらいたいと思います。xとyの平均値を算出して各x及びyから差し引いたものの積和の平均値を「共分散」と言います。 因みに、各xからxの平均値を差引いたものを2乗した和の平均値を「分散」と言いましたね。

p.9 相関係数=(xとyの共分散)/{(xの標準偏差)×(yの標準偏差)}で計算されます。 共分散なら右肩あがり、なら右肩下がりの相関となります。分散=(標準偏差)ですから、共分散を(xの標準偏差)と(yの標準偏差)で割って傾き具合を計算しているというイメージです。

p.10 数学的には、x・y(ベクトルxとyの内積)=lxl・lylcosθ で表します。 ベクトルxとyの内積は、p.8の共分散lxlとlylベクトルxとyの長さ標準偏差に相当します。 相関係数rは、ベクトルの内積各々のベクトルの長さで割ったcosθ なのです。 ベクトルxとyが同じ方向で一致していると、θ=0で相関係数r=1ベクトルxとyが垂直の場合θ=90°、cos90°=0で相関係数r=0となるわけです。相関係数r=0が「直交」なのです。 直交表の各制御因子の列がベクトルと考えてください。2つの列(ベクトル)の相関係数を計算すると0(ゼロ)になるように直交表は作られています

p.11 右上の直交表の割付に、p.5と同様に各制御因子の水準のSN比を代入してみます。Bとc列、cとD列というように任意の2列の共分散及び標準偏差1を計算してみると共分散がすべて0(ゼロ)なので、相関係数も0(ゼロ)になることが明らかですね。つまり、着目している列以外は全て直交する(相関がない)のです。この性質を用いると、各列毎に独立してどの水準が効果が大きいかを評価できるのです。

p.13 直交表の各行について「実験回数がN=1でよいの?」という質問については、B1、B2およびB3について各々6回も評価しているのです。B列をD列に置き換えても同様です。

p.14 制御因子AからHまでの組み合わせは2×3=4,374通りありそれを18通りで効果をみることが可能です。

いかがですか? 直交表が有効なことは少し理解していただけましたでしょうか? まだまだかもしれませんので、説明がもう少し進化するように頑張ります。

 

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