私が尊敬する長沼伸一郎氏が書いた「経済数学の直観的方法」(発行所:講談社)の本を解説した資料を作成しました。 長沼氏は、難しい原理や式を直感的に解説する本を世に出してくれていますが、ついに経済学の難しい理論も説明してくれました。この本の後半は、理系の私には縁がなかった世界なので、少々読むのに骨が折れました。(脱線ですが、幸運を祈るよ! を Break a leg !と言います)
初級・中級及び上級編の3部構成で書かれており、初級及び中級編は統計を理解するのに有用です。
上述の本を私なりにビジュアルにまとめてみました。 こちら→ 経済数学
パラレルワールドと現実社会で対比して説明しています。 パラレルワールドは構成するメンバー構成が分かっているので、三角形で近似できますが、現実社会は構成メンバーが多いため三角形でなく釣り鐘状の分布で考えます。そこで、「ものさし」として「標準偏差σ」が必要になってくるのです。p.10及び11辺りにσが正規分布の変曲点に位置する解説を入れておきました。
p.18 物質の拡散が「時間の平方根」で拡散していく理由が上手く説明されています。ご覧ください。左上の図のイメージが重要です。
p.16と19 母集団からn個サンプリングした標本の平均値は標本の数が増えていくとp.19の右下の図にあるように母集団の平均値に収束していきいます。これを「中心極限原理」と言います。 p.16のようにパチンコ玉を上から落とすと釘に当たって、釘の段数が増えるほど横に落ちる確率が増えて、釣鐘が横に拡がっていきます。この拡がりが上述の「時間の平方根」に類似した「nの平方根」と類似することができます。釘の段数nの平方根に比例して拡がり、つまりσ(標準偏差)が増加していきます。 標本の標準偏差を「nの平方根」で割るのは、これをイメージすれば良いと思います。
p.20以降が経済にかかわる上級編の内容です。 難しいことはさておき、株や債券で損をしないためには、反対の動きをする銘柄を買っておくと良いそうです。万が一トラブルがあっても、損はしない勘定です。片側が上向きの曲線であれば常に儲かることになります。ここでも「時間の平方根」に比例して儲かるようです。この理論を「ブラック・ショールズ理論」というそうです。
統計や数式に苦手な方、難しい数式でも図でイメージしておくと、いつか役に立つかもしれません。