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物真似からアイデアは産まれる

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 人類は、自然から多くのことを学んで来ました。がそうでしたね。 今日は、生物の機能を模倣した物を紹介します。これを「バイオミメティクス(=biomimetics)」と言います。 このキーワードで検索するとたくさん事例が出てきます。 今回は、若い後輩向けに「摩擦力をコントロールするアイデアを考えてみよう」ということで話をした中に、このバイオミメティクス」が出てきます。 アイデアを出すには「摩擦の原理・原則を知る」から始めようということで、タイトルを「擦(す)る」にしました。東野圭吾のガリレオシリーズのタイトルに、脱る(ぬける)、予知る(しる)、転写る(うつる)」というのがあったので、真似をしました。 

  資料は→ 擦る 

 p.4 30年以上も前、スパイクタイヤで雪道を走っていたところ水平方向に1回転しました。最近のタイヤはスタッドレスタイヤですが、接地面積からするとスタッドレスの方が大きいです。感覚的には、接地面積が大きい方が摩擦力が大きいと思うのですが、中学か高校で習う「アモントン・クーロンの法則(Amonton-Coulomb)」は、F=μNで表され、摩擦力Fは摩擦係数μと抗力N(物体が接地面を押す力)の積なので、面積の項が出てきません。ずっと不思議に思っていました。 詳しい説明は省きますが、おそらくp.6の中ほどにある、最大静摩擦力は剪断強さと接触面積の積が私のイメージを表しているのだろうと勝手に納得しました。

 こんなことを調べていたら、摩擦力は何で決まるのだろう? 連想するもの全て挙げてみようということで、p.7のように書き出しました。真中の語句に関連する語句を周りに書き、そのうちの1つを隣の真中に書くということを繰り返して行きます。摩擦係数μに関係する語句に濡れ性があります。これについて調べている内に、面白い現象がありました。 蓮の葉っぱに水を垂らすとはじいて水玉になります。 なぜだか知っていますか? 表面が凸凹で疎水性(水をはじく性質)がその理由です。 ではカタツムリの表面は凸凹なのになぜ濡れているのでしょうか? p.910には理論的な説明を載せておきました。p.11をご覧ください。 親水性(水になじむ性質)の場合は、凹凸の方が平坦な面よりさらに濡れやすくなり疎水性の場合は、凹凸の方が平坦な面よりもさらにはじき易くなるそうです。 

 この他にも同様のことがないかと探していたら、「サメ肌」を利用したものを見つけました。以前これを利用した競泳用水着が開発されました。サメ肌を拡大した写真をp.14左上に載せておきました。一定方向に流れやすい「リブレット構造」になっています。このように生物の機能を模倣する「バイオミメティクス」を検索すると

 ヤモリの足: 天井に張り付くことができるのは、p.16のようにヤモリの足を拡大すると細かいヒダがあって、接地面との間の分子間力で吸着しているのです。

 p.18: オナモミ→ マジックテープ、 カワセミのくちばし→ 新幹線の先端部、 ふくろうの羽→ 新幹線のパンタグラフ(騒音防止)

以下の事例は、生物とは関係ないですが、摩擦に関係する事例です。

 p.19: ゴルフボールはディンプル(dimple)構造により空気抵抗を下げて飛距離をのばしています。

  p.20: ハードディスクは高速回転しているのになぜ、摩擦抵抗を減らしているか? → 常に軸受との間隔が一定になる流体動圧軸受」という機構が使われています。

 p.21: ハードディスクを読み取る磁気ヘッドは、0.02ミクロンだけ浮上しているそうですが、どうやってそんな微小な隙間をコントロールしているのでしょうか? 飛行機の翼のように。空気の流れによる揚力で浮いているのです。こうすれば接触しないので摩擦抵抗は生じません。

 p.23: 匠が銅の板を手作りで細工して「大根おろし器」は、非常に抵抗が少なく大根をおろせるそうです。三角形の刃がわざとずらして並んでいるのがミソのようです。

 p.24: 摩擦面もある程度、耐久性が要求されます。どんな構造がよいか? 力が分散できて、一番接する面積が小さく充てん密度が高いのは「ハニカム構造」である。蜂は、できるだけ少ない材料で強度が高いハニカム構造」を作る知恵を本能的に持っているのです。生物は素晴らしい!!

 p.27: 連想する語句を並べていくと良いアイデアが出てくると思います。 このブログも連想力アップに貢献できればと常に思っています。

 人類は、いろいろな事象を連想ゲームのように繋げることによりさらに進化したものを創り出すことができるのである。人工知能にこのことができるだろうか?

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