χ2検定について説明してきましたが、今日はノンパラメトリック検定らしい事例を紹介します。
資料はこちら → ノンパラメトリック検定
p.1 ノンパラメトリック検定を使う場合です。(再掲)
p.2 今日は、順位データを扱う「U検定」と「サインランク検定」を取り上げます。
p.3 U検定の問題です。うさぎとカメが競争した順位の結果より、「うさぎとカメの平均順位が等しい」という帰無仮説が成立するか否かを検定します。U検定の場合、統計量U1とU2を算出し、小さい方を用いて計算を進めます。この結果、うさぎとカメの平均順位は等しいとなりました。
p.4 Minitabの実行手順と実行結果です。結果の表現が紛らわしいので注意が必要です。p値が0.05より大きいので「有意差がない」結果ですが、「η1=η2とη1≠η2の検定は、0.1698で有意です」と記述されています。紛らわしい表現です。Minitab内のヘルプの記述を載せておきました。帰無仮説と対立仮説が有意であるという意味で、結果は「~差があるという仮説は指示されません」(赤のアンダーライン部)と記載されています。 「有意差がない」と同じことを言っているのです。
p.5 サインランク検定の事例です。問題文をお読みください。今回は、AさんからJさんまで10人がアイスクリームAとBを評価するので「対応あり」の検定です。因みに、上述のU検定は「対応なし」つまりうさぎとカメは対象が異なる場合に用いました。評価点の差を計算後、順位をつけます。その際に、差が同じ場合はランダムに順位をつけます。その順位を加算して平均値として補正します。次に評価点の差がプラスだけの補正値の合計、マイナスの補正値の合計を算出し、数値が小さい方を統計量i=23とします。有意水準0.05として、ウィルコクソンのサインランク検定表より閾値を求めます。統計量j=23>閾値10のため帰無仮説は棄却できず、アイスクリームAはBより高いとは言えないと判定されました。
p.6 Minitabの実行手順と実行結果です。「Mann-Ahitney」を選択してください。結果は上述と同じになりました。Minitabの場合、一般に用いられている用語と異なるので、適用するものを探すのが大変な部分があります。
ノンパラメトリック検定の主なものを説明してきました。 統計は用途に応じて使用する手法が多岐にわたっていますので、実務を通して少しずつ拡げていくしかなさそうです。 ただ検定に用いる分布は異なりますが、帰無仮説があり得るのかないのかを閾値、統計量あるいはp値で判定する手順は皆一緒です。慣れてください。