今日は、品質工学事例第2弾です。 分析条件のパラメータが多く設定に困ったことはありませんか? 品質工学を適用する方法を説明します。
資料をご覧ください。 → 分析法
p.1 「ICP発光分光分析法(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法)」、「原子吸光」あるいは「各種クロマトグラフィー」のようにある特定波長に吸収スペクトルを生じる分析法であれば、何れも同じ考え方で品質工学を適用可能です。各種クロマトグラムとは、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどです。
p.2 ある濃度で3つの波長にピークを持つ化学種があったとします。濃度をM1、M2及びM3と増すとピークの高さも増加するはずです。グラフに描くと右図のようになります。単一ピークであれば1本の直線になり、「検量線」と呼びますね。 この検量線の精度が良くないと、分析法としては好ましくありません。
p.3 ICP発光分光分析法は、表や図のように多くのパラメータを有しています。これらを制御因子にして直交表実験を組みます。
p.4 ピークの模式図が右図です。SN比そのものですね。ピークが信号y、バックグランドの変動Veがノイズです。yが大きく、Veが小さい程SN比は大きくなります。 通常SN比は、η1だけでよいのですが、望小特性としてη2も計算しておきます。
p.5 バックグランドがノイズだけでなく、量(かさ)高になっている場合もあります。この場合、このバックグランドの高さをyにして、できるだけ小さくなる望小特性としてSN比η2を算出します。先日の機能窓と同じように分子の信号が大きく、分母のばらつきあるいは量高分を小さくしてSN比が大きくなる条件を求めるのです。η1とη2を別々に算出して加算して総合SN比ηとします。
p.6、7 波長が4点の場合の式を載せておきます。SN比の分母にσ2がありますが、ピークの幅が気になる場合は、ここに半値幅を入れてSN比としてみてください。
p.5のイメージが大事です。 SN比は基本的な部分が合っていて、理想に近いものが大きくなるようであれば、それでよいのではないかと個人的に思っています。品質工学の専門家の方には怒られてしまいそうですが。