バリデーションは、医療機器、医薬品及びIT産業で守備範囲が微妙に異なるという話です。一番最初は、米国で医薬品容器の欠陥で微生物汚染があり死亡者が発生したことが起因で、製造工程を保証するために基準が生まれました。医薬品は製造工程で品質保証するというGMP(Good Manufacturing Practice)規測があり、バリデーション守備範囲は製造工程でした。 医療機器は、製品設計と滅菌が保証できていれば品質が保証されるという考えから、当初は設計バリデーションと滅菌バリデーションのみでした。 ところが、医療機器も医薬品同様に製造工程のバリデーションの必要性が生じ、プロセスバリデーションが加えられることになります。 一方、医薬品は医療機器と複合したコンビネーション製品も登場してきたことにより、ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use:医薬品規制調和国際会議)が医療機器の製品設計を検証することを盛り込むように提案しました。医療機器も医薬品も各々欠けていた部分を補う形で基準が修正されてきています。品質を守るためには必然なのでしょうね。 人間関係も、似たもの同士よりも相補関係の方が上手くいく確率が高いようです。
医薬品と医療機器は別々の道を歩んできたため、同じ用語でも微妙に実行する内容が異なってしまいます。 例えば、DQ(Design Qualification:設計時適格性評価)、IQ(Installation Qualification:設備据付時適格性評価)、OQ(Operation Qualification:
医薬品の場合「DQ」があり「設計時適格性評価(確認)」という言葉があります。 この場合の設計は、製造設備の設計に関する検証であり、製品設計の検証ではないことです。 このDQ~PQの「Qualification」は「適格性確認(評価)」と訳されています。この語句は、バリデーションの中のベリフィケーションの中の1つの要素だと考えてください。製造設備や製造条件に関わるベリフィケーションを実施します。
→ https://www.validation-wa-nks.jp/2018/1018_140023.php
最近は、製造設備はプログラム制御されているので、プログラムが適格なのかどうかをハード及びソフト合わせて検証する「CSV(Computerized System Validation)」を実施することが求められています。 IT産業にも、このCSVが要求されるようになります。