昨日の「リスクとリターン」において「ラグランジュの未定乗数法」を匂わせる絵があったと思います。2つの曲線が接している絵です。無差別曲線は等高線と似ていますね。 経済活動においても「ラグランジュの未定乗数法」が有用である事例を紹介します。
資料→ ラグランジュ ポートフォリオ
Excelファイル(昨日の計算のシートもあります) → リスクとリターン
p.1 一番上の黄色の部分が問題です。計算を簡単にするために投資先A、B及びCの資産を1、2及び3としておきます。単位は億円でも構いません。リスク(分散)が最小の場合のポートフォリオのリターンを求めよという問題です。 ごちゃごちゃと計算していますが、中間の赤枠部分が「ラグランジュの未定乗数法」を利用しているところです。式の第1項がリスクの合計、第2項はポートフォリオの期待値そして第3項は保有率の制約条件です。第2及び3項にλがかかっています。第1項を最小にする条件を計算で求めることになります。5つの変数で偏微分してゼロとおいて計算を進めます。今回「共分散をゼロ」としていますので、第1項内は投資先A、B及びCの標準偏差のみを用い、他の項は全てゼロになりますので、式が簡単になります。 A、B及びCが独立している訳です。 昨日は、相関係数を3種類で計算していました。
p.2 解いていくと分散(リスク)は、ポートフォリオの期待値の2次式で放物線になります。 図を描いておきました。よって、ポートフォリオの期待値が2の時にリスクが0.58で最小となります。これらの結果より、資産は1/3ずつ保有するのが最適となります。 昨日と同様なリスクに対するリターンの曲線も描いておきます。
いかがでしたか? 経済問題も「ラグランジュの未定乗数法」で解くことが可能なことがわかっていただけたと思います。 投資計画にも使えそうですね。一つ手法を覚えると、多くの事例の応用が可能になるのです。