製造工程が安定していないと不安ですね。 中堅のリーダークラスには、「日々のデータは宝の山である」という話をします。何気なくやり過ごしていると折角のデータもゴミ同然ですね。 新人相手の研修では、「QC7つ道具」の「管理図」の話であったり、工程能力指数の話をするのですが、結局、日頃の忙しさに紛れて実践してない場合がほとんどです。良いツールであっても、使わないと効果が出ないのです。 データを地道に蓄積して活用することで、生産性は確実に上がるはずです。問題が起きた時にデータを収集するのは非効率ですし、必要なデータは得られないのです。次の資料は、中堅クラスに実施した研修の一例です。
資料はこちら → データの読み方
p.1 日々のデータをこんないいことがあるよ と言っています。
p.2 「9個取りの金型の成形物の直径を4時間置きに測定して、規格値(中心値:1.53 上限:1.60 下限:1.46mm)で管理しています。毎日のデータをどう活用しますか?」という問いかけです。作業日、曜日と9個の成形品の寸法の計測値のリストです。
p.3 ①工程検査記録をみると、キャビティーFで2日連続で上限規格ぎりぎりでした。規格内なので判定は合格です。大丈夫でしょうか? ②管理図を作成するために、とりあえず1週間分のデータをプロットしてみました。 ばらつきが大きく何だかよくわからない。と言ってあきらめていませんか?
p.4 ③キャビ毎に線で結んでみますか。キャビFは高目、キャビDで低目で推移していることがわかります。 これも重要な情報ですね。
p.5 ④管理図を作成してみますか。9つの成形品寸法の日々の平均の平均値、9つの成形品のMaxとMinの差の平均値を算出すると、表より係数が割り出されて、上方管理限界(UCL)と下限管理限界(LCL)が算出できます。グラフにUCLとLCLの線を書き入れてみたのが、右下のグラフです。
p.6 この図をみて、あなたならどう動きますか? 他部署任せですか? データをいろいろな角度(視点)で眺めて欲しいですね。
p.7,8 工程能力指数も算出してみましょう。CpだけでなくCpkの方が好ましいですね。p.8の上の表をご覧ください。Cpは1.33をきっているものもありますが、問題がそれどどでもないように見えてしまいます。Cpkをみてください。 キャビティーFは、Cp=1.56なのにCpk=0.76しかありません。 グラフに描いてみるとさらに分かり易いですね。
p.9 ⑥Excelの等高線図を描いてみます。金型の位置と合うようにして描いたものが右下です。金型の右側が寸法が大きく、左側が低めにの傾向がありそうです。
p.10 平均値が中央になるように金型を調整した結果、管理図のUCLとLCLに挟まれる領域に計測値がまとまってきました。
p.11 日頃地道に蓄積した1年間のデータをプロットしてみます。夏と冬の違いがありそうです。金型の冷却水温度が季節で違うためか?
p.12 1か月のデータをプロットしてみました。 あれ、規則的にジャンプしています。 さらに1週間でプロットすると、週初めが特異的に大きい値です。週初めの成形機立ち上げ時に金型温度が安定していないためか? 推定
p.13 Excelの分析ツールをアドインしてみましょう
p.14 Excelのピボットテーブルを利用すると、曜日とキャビの表ができます。
p.15 データの活用方法です
パワポの元データ(Excel)はこちら → サンプルデータ