以前紹介した「動物たちの内なる生活」(著者:ペーター・ヴォールレーベン 発行所:早川書房)の前作「樹木たちの知られざる生活」(著者、発行所同じ)を読み始めました。最初の50ページだけですが、直ぐに惹きこまれました。「サバンナアカシア」という木はキリンに葉を食べられると、数分後に葉の中に有毒物質を集めさらに、周りの仲間に知らせるために警報ガスとしてエチレンを発散するそうです。樹木のなかには、害虫の唾液を分類してその害虫の天敵が好きな臭いを発散するものまであります。ナラは苦くて毒性のあるタンニンを葉に送り出し、ヤナギはサリシンを作り出します。サリシンはアスピリンと同類の化学物質で江戸時代、歯が痛い時にヤナギの爪楊枝を用いた話は以前のブログ「薬よもやま話 -植物の知恵-」で紹介しました。 空気中に警報を出す以外に、根を使って仲間の樹木とコミュニケーションをとったり、栄養を分け与えたりしているようです。また、菌類がインターネットの光ファイバーのように情報のネットになっているらしいのです。菌類は情報を樹木に与える見返りに、樹木から栄養をもらって共存しているようです。アメリカのオレゴン州には菌糸体が9平方キロに広がって重さ600トン、推定年齢2,400歳の巨大キノコがあるそうです。以下の写真がそのものか分かりませんが、巨大キノコです。
脱線しますが、この本を読んでいて、以前に読んだ「奇跡のリンゴ」(著者:石川 拓治 発行所:幻冬舎)を思い出しました。このノンフィクションに登場する木村秋則さんは無農薬のリンゴを試行錯誤の上栽培しています。非常に苦労され、挫折寸前で山に登った際に樹木が生き生きと育っていることに気が付くくだりがあります。微生物が豊かな土壌が木々の根を深く広く張り巡らすことができ、虫にも強いことを知るのです。 最近は、農薬や化学肥料を使用するので、土壌中の菌が減少して土が肥沃でなくなり、根も浅くなるそうです。 木村さんのリンゴの木は、土壌中の菌が多いため肥沃になり、根がしっかり張っているため、台風にも虫にも強いそうです。一度、木村さんのリンゴを食べてみたいものです。 この本も感動する本でお勧めです。
作物にモーツァルトの音楽を聞かせると美味しくなるという話を聞いたことがありますが、220ヘルツの周波数の「ポキッ」という音に対して、仲間の苗がその方向に傾いたという研究結果があるそうです。植物も音を聞いているらしい。
以前に「巻き枯らし」で間伐をして森の中に光を取り込んで森を整備する取り組みがあることを紹介しました。私も経験いたしましたが、この本を読むとこの行為は、樹木にとっては良くないのではと思いました。樹木は根でお互いにコミュニケーションを取り合っているので、巻き枯らしをした木が間に挟まると、健康な木はその木を助けようとして根を介して自分の栄養を分け与えて健康な木も弱ってしまう事態もあるようです。また、日光や風が入り込むことにより、湿った空気が失われ環境が悪化するそうです。良かれと思って実施したことが、樹木たちにとっては余計なお世話である可能性が高いのです。
以上のようなことが最初の50ページに書かれていました。最後まで、読むとこれまでの常識が崩れそうな予感がしてきました。 皆さんも、是非お読みください。考えさせられます。