「健康は土から見直す」で取り上げたように、野菜や肉に含まれている栄養分や抗酸化物質を豊富にするためには、土中の微生物を豊富にする必要があります。ところが、大量生産型の農業では、化学肥料や農薬を用いるために、植物が弱くなり、虫に食べられる負のサイクルになってしまします。「菌ちゃん農法」(著者:吉田俊道 発行所:家の光協会)の著者である吉田先生は、微生物の力を利用した農法を開発して普及しています。この本や動画を参考にまとめてみました。
資料はこちら → 菌ちゃん農法
p.1 苗床の作製方法を説明します。以下の動画も参考になります。①寸法に合わせて溝を切る。②溝に丸太や枝を置く。③両脇の土を盛って断面が台形になるようにします。④籾殻、雑草、枯葉、野菜の残渣を5cmの厚さで載せます。⑤軽く土を載せます。⑥マルチシートを被せる。⑦重石を載せます。これにより、毛細管現象により、水分が吸い上げられます。⑧空気穴を開けます。好気性菌は酸素を必要としているので、マルチシートの下端からだけでは酸素不足になってしまいます。マルチシートを載せる理由は、雑草防止、発酵温度を保つ、水分過多にしないことです。
→ https://www.youtube.com/watch?v=wBI2a5sYP_A
p.2 以前「強いものが仲間を守る」で取り上げたように、植物は微生物と共生しています。菌状菌の菌糸を利用して土中の微生物が作り出した栄養や吸収したミネラルを野菜の根から吸収します。一方、微生物は植物が光合成の生成物を微生物にも与えます。このサイクルにより、植物も健康になって虫に食べられ難くなります。
p.3 土壌を評価する際に、窒素・リン酸・カリ、p H以外にC/N比があります。炭素/窒素の含有比です。表をご覧ください。C/N比が高いということは、炭素が多いということになります。適正C/N比は、15〜25辺りだそうです。化学肥料や堆肥は、窒素・リン酸・カリは豊富ですが炭素が不足します。アミノ酸の骨格になる炭素が不足してしまいます。上述の菌状菌は、炭素分が多い資材を好みます。枯葉を裏返すと白い菌糸が見えます。山で朽ちた木に白い菌糸が張っているのを見たことがありませんか?炭素分の多い資材を分解して土にしているのです。「菌ちゃん農法」では、化学肥料や堆肥を用いずに、枯葉、籾殻、丸太のようなC/N比が高い資材を発酵させて野菜を育てます。微生物が活躍するとC/N比が高い資材を用いても適正比に落ち着くようです。 他の動画で、籾殻を土壌改良に利用している場合は、窒素を含む硫安という化学肥料を添加しています。そうしないと「窒素飢餓」となり、葉が成長しない不具合が生じてしまいます。籾殻は、排水性を良くして、土をふわふわにする役目をになっています。
現代人がサプリメントで栄養補給するのは即効性を求めており、常に供給してあげる必要があります。一方、菌ちゃん農法は、長い年月かけて土中の微生物フローラを作っていき、その成果として健康的な野菜が育ち、食べた人も健康になる正のサイクルになっていきます。私も、この週末、菌ちゃん農法の苗床を作ってみます。皆さんも、健康な腸内の微生物フローラを形成して、健康になりましょうね。