「座標変換は、視点を変えること」「ドラえもんのポケットは・・」「今見ているのはどちら?」などでも取り上げてきましたが、見る視点、複素平面、多次元、直交表、次元解析などが関与する事項には非常に興味を持っています。小説でも、最近ハマっている「ジョシュアファイル」や過去に読んだ村上春樹の「1Q84」や「騎士団殺し」などに共通した位相空間移動、パラレルワールドは面白いと感じます。 今回紹介する「文系のためのめちゃやさしい次元」(著者:浅井祥仁 発行所:NEWTON PRESS)から興味を覚えたトピックスを補足して取り上げます。読みやすい本なので、興味のある方はぜひお読みください。
資料はこちら → 次元
p.1 1次元は線、二次元は平面、3次元は立体ですね。左側をご覧ください。1の長さの直線の2倍は2の長さの直線、1辺が1の長さの正方形の辺が2倍の正方形の面積は4倍、1辺が1の長さの立方体が各々2倍の立方体の体積は8倍ですね。式で表した2のベキ乗の部分は整数で、各々次元を示しています。3次元の場合は3です。 べき乗は整数とは限らないことを今回初めて知りました。 右側のフラクタル図形をご覧ください。1辺が1の長さの三角形の面積を1とします。2倍の辺の三角形では、3つの三角形がありますので、面積は3倍です。2のべき乗を計算すると1.58となりました。フラクタル図形は1次元と2次元の間に存在するようです。
p.2 哲学者プラトンは著書「国家」の中の「洞窟の比喩」において、「子供の頃から洞窟の壁しか見ることができない囚人たちは、壁に映し出された影が世界の全て」と述べています。3次元の物体を2次元の情報だけではわからないということを意味しています。 新人研修の中で、毎回右のような問題を出題して、視点を変えることの重要性を示していますが、上述の本にもこの事例が述べられています。 品質工学の直交表は、多次元のパラメータから情報を切り出して解析するツールでした。
p.3 2次元の世界に金庫があり金塊があるとします。2次元の住人は金庫の線しか見えないのです。3次元の住人が金塊を取り出して2次元上の場所に置くと初めて気がつきます。取り出す際は、3次元空間を経ますが、その過程は2次元の住民は見ることができません。 3次元内ある金庫内に金塊がある場合、4次元の住人は4次元の方向に金塊を取り出して別の3次元空間の戻すことができます。3次元空間の住人には取り出しは見えません。不思議な世界です。
p.4 左の図をご覧ください。2次元空間にある「d」という文字は、3次元空間に取り出せば、上下反転あるいは左右反転させて、元の2次元空間に戻すことができます。左右が反転するのは、鏡に映った姿がありますね。 生理活性物質には、D体とL体のように左右対称のブドウ糖やアミノ酸があります。ブドウ糖はD体が、アミノ酸はL体が生体に吸収され易くなっています。DNAの2重螺旋は右回りだそうです。L体のアミノ酸でないと螺旋が形成されないのかもしれません。 4次元空間に行って3次元空間に戻ってくると、DNAの螺旋方向が逆向きになったり、心臓や肝臓の位置が左右反転しているかもしれません。
タイムマシンは時空あるいは位相空間の移動ですから、3次元の世界の住人としては、不思議なことが起こり得てもおかしくないのかもしれません。