「世界は単位と公式でできている」(著者:福江純 発行所:日本能率協会マネジメントセンター)を紹介します。 今まで単位と次元については取り上げてきましたが、私が考えてきたことと同じなので、非常に親近感を覚えます。過去の関連ブログ「単位のはなし」「次元解析とは?」
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p.1 本書では「物理量=数値+単位」と書かれていますが、私は「物理量=数値×単位」の表現の方が良いと思っています。物理量を考える時に単位も考慮しなければいけないということを意味しているとは思いますが、実際に単位を含めて計算するのですから「+」ではなく「×」の方が適切であると思います。単位を次元で表現すると次元解析ができるという話も以前取り上げました。物理量の単位がわからなくなった時あるいは公式がわからなくなった時に、有効です。 力の単位Nがわからなくなった時は、F=mαという式を思い出せば、N=kgms-2であることがわかり、エネルギーの単位Jがわからない場合は、運動エネルギーの公式E=mv2/2を思い出して単位を求めると、kgm2sec-2となります。 これらを次元で表すと、各々MLT-2とML2T-2と表すことができます。光速度、万有引力定数及びプランク定数の次元を書いておきます
p.2 「Q ブラックホールの半径を求める」という課題がある場合、算出式が不明ですが、単位がわかっていれば、当たりつけることができます。ブラックホールは重力に深く関わっていることから類推して万有引力、質量、そして光が吸い込まれることから光速度を用いることにします。 半径は長さの次元Lなので、万有引力、質量及び光速度の次元を並べてLだけ残るように考えます。万有引力の次元にM―1があるのでMを掛けて消します。光速度で割ると次元Lが残ります。 実際のブラックホールの重力半径(シュバルツシルト半径)と次元はあっていますが、実際は2という係数がついています。 このシュバルツシルト半径の意味するところは、この半径まで圧縮するとブラックホールになります。太陽は約3km、地球は約1cmだそうです。 地球について実際に計算してみました。約0.88cm程度になりました。
物理量の単位がわからなくなった時あるいは公式がわからなくなった時に、次元解析は有効です。そしてその際に「物理量=数値×単位」であることより、単位も併せて計算すると間違い防止が可能です。