(「色のふしぎ」と不思議な社会)(著者:川端裕人 発行所:筑摩書房)を紹介します。 若かった頃、自分が見ている色を他の人は何色に見えているのだろうかとよく思ったものでした。 実際は、いろいろな見え方の方が居られるようです。色覚テストを実施した時期、実施しなかった時期があるようです。自分がどのタイプの色覚であるかはある程度成長した時点では知っておく必要があると個人的には思います。それにより、どう対処すればよいか心づもりできるからです。危険を回避できるかもしれませんし、自分の進路を狭めなくてもよいかもしれません。大人は、特に教育者は、色覚の個人差ががあることを知っておくべきだと思います。 以前に服の色が「白と金」か「青と黒」か?という話題があったと思います。知らない方は、以下のサイトをご覧ください。
服の色は? → https://grapee.jp/32137
違って見えるのは? → https://grapee.jp/32175
人は三色を感じる方と二色のみ感じる方が居られます。S錐体、M錐体及びL錐体が色を感じる細胞ですが、MとLの波長領域はかなり重なっています。二色を色覚する方は、MとLの重なりが大きいのかもしれません。霊長類は、LからM錐体が派生してできたそうです。森にある赤い果実を見つけ易くするからという研究結果があります。その論文の図を以下の資料に載せました。説明のために、緑と赤の枠を描きました。緑の枠内が森の葉を示し、赤枠内が果実を示しています。緑と赤の違いが明確に分離されています。
資料はこちら → 色覚
ところが、その後の研究で2色しか感じないさると3色のサルでは、果実を探す差がないという研究結果が得られたそうです。視覚だけでなく、嗅覚も最大限に使っているために差が出ないと考えられています。 擬態している昆虫を探すには、むしろ2色型の方が有利であるという結果も得られているそうです。同じ色内での違いを3色型より2色型の方が見極める性能が高いので、擬態した虫を見つけ易いらしいのです。人においても、各々の特性を活かした職業につければ、よいのでしょうね。多様性を利用するのです。この本でもそう書かれています。
p.2 上述のS、M及びL錐体で感じた信号を足したり引いたりして、色を判断しているようです。 光の三原色と色の三原色を下に載せておきます。白色光は、全ての色が含まれていることがわかりますね。 色の三原色を混ぜると黒くなります。パレット上で三原色の絵具を混ぜると黒くなります。水性の黒インクで濾紙に印をつけて水で展開すると、三原色に分離するペーパークロマトグラフィーは、この逆ですね。以前「黒は包容力がある?」で取り上げました。緑色の葉は赤と青の光を吸収し、緑色の光を反射していることは「クロロフィルと血液成分、形は似ているが色が違う」で説明しました。
一般的な人は3色覚ですが、稀に4色覚の方が居られるようです。下記のサイトでチェックしてみてください。
4色覚のチェック → https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52186813/
鳥は4色覚だそうです。多い色覚がよいのか少ない方がよいのかはわかりませんが見ている世界は違うということは知っておく必要があります。