「問いの技法」(著者:佐藤 裕 発行所:青弓社)を紹介します。私は、研修時、いつも問いかけをしながら進めています。本書を読んで、理論的なことを知ることができ、これからプレゼンやコミュニケーションに活かせていけたらと思い、少しずつまとめてみます。
資料はこちら → 問い
p.1 本書では、「問い」の理論について、述べられています。「問いの理論」は、何かをはっきりさせ、多様な問いを分類、整理して特徴を明らかにすることだそうです。理論を学ぶメリットが1〜3まで書かれています。「問い」を言語化(言葉にする)するには、ある程度知識が必要です。「食後にコーヒーを飲むのはなぜ?」という質問は曖昧です。この「なぜ?」には、根拠を問う場合と理由を問う2通りがあるからです。根拠を聞く場合、「食後にコーヒーを飲む根拠は何か?」と聞くより「食後にコーヒーを飲むことが良いとされる根拠は何か?」と聞く方が答えやすくなります。
p.2 「問い」があって「答え」があります。「あなたはいつ東京に行きましたか?」という質問に対して「A1:私は昨日東京に行きました。」「A2:昨日です。」のどちらが「答え」として適切でしょうか? A1を書き換えると「私が東京に行ったのは、昨日です。」となります。前半分は質問の繰り返しに過ぎないので「昨日です」が「答え」であることがわかります。 「問い」を定義すると、「条件に合う答えをある範囲のなかから選択することである」となります。選択するには「選択基準」を定めて置く必要があります。 次に重要なことは、「先取りの問い」です。予想による「問いの先取り」の事例は、自己紹介です。あなたは誰ですか?という問われることを予想して自己紹介しています。 これより難しいのが、要請による「問いの先取り」です。事例を見たほうが理解しやすいです。「いま何時ですか?」という「問い」をさせたいために、「もう五時ですよ」と先回りして問いかけます。この問いかけには、時間を気にしないで仕事をしている人に対して 「あなたは時刻を気にする必要がある」というメッセージが込められています。これを、「要請による先取り」と呼びます。講演やプレゼンテーションでは、一方的な説明やプレゼンとなってしまい、聞いている側はわかってもわからなくても質問をするタイミングがありません。そこで、質問を促すような「問いの先取り」が重要な技術となります。統計的な事例やデータを提示して、「何か変ですね。」のような質問を促すような先取りの問いかけが重要です。「どうして〜なのですか?」という質問が出てきたら、それに対して「正解」を示せば、プレゼンテーションは成功です。質問が出るということは、プレゼンの内容に引き込まれたことを示しているからです。 私は、研修の中で無意識のうちに実践してきたような気がします。私の資料は、1ページを全て見せることはほとんどなく、緑字の質問で必ず止まる仕立てになっています。研修を受けられた方、講師の皆さん気が付きましたか? 聴講者の「問い」を促す問いかけになっているのです。皆さんも、意識してこの方法を身に着けてください。 仕事が上手く進むようになりますよ。