トピックス 品質工学

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昨日の「品質工学アレルギー」その2です。

資料はこちら(再掲) → 品質工学アレルギー

p.9 品質工学では、製品そのものを用いなくても評価できます。製品が円筒状で、その表面に塗布膜が形成されている場合、そのもので評価せずに、塗布膜の厚さを変えてシート状にして、オートグラフ(挿抜試験機)で、摩擦力を測定します。

p.10 評価する際に、max値特異点を計測して評価することが多いと思います。 例えば、左図は、基材の上に膜がコーティングされている場合、長さ方向に摺動抵抗を測った数値を示しています。3つのサンプルの測定結果を示しています。max値を見て規格と比較して判定します。右図は、膜に負荷をかけた後に摺動抵抗を測定した結果を示します。max値でも劣化の程度を評価することは可能ですが、全てのポイントについて評価対象にすべきです。品質工学では、極力全てのデータを用います。全てのデータの中には、位置・形状劣化状況などの情報が含まれているのです。位置情報については、どの部分が剥離しやすいかの情報がわかるのです。

p.11 理想は、どの場所も隔離や劣化しないことですね。誤差因子、つまり負荷(いじわる条件)かけても劣化しない最適条件を見つけるのが品質工学です。

p.12 特性値を計測しなくても、外観などを目視で見て点数化してSN比に変換することができます。白と水色のチューブを融着する装置があり、右表のような制御因子と水準の直交表実験を行い、点数化したSN比を用いて要因効果図を描きます。チューブが上手く融合したものを1点、融合してもバリが生じたり、チューブが詰まった場合を5点とします。その他は、その間の値とします。点数yの2乗の逆数の対数をとり10倍してSN比とします。点数でも要因効果図が右下図のように描くことができ、最適条件の確認実験も良い結果を得ることができます。

p.13 横軸超音波融着装置のエネルギー縦軸融着量をとる左図のような動特性のグラフが描ければ良いのですが、融着量を上手く測れないことがあります。その場合は、右図のようにします。エネルギーを高くすると、バリができる場合、バリができ始めるエネルギーをMheigh融着できないエネルギーをMlowとします。分子がMheigh分母がMlowなので、Mheigh大きいほど、Mlowが小さいほどSN比が大きくなります。つまり機能窓が広がります。そのような超音波融着条件を求めるのです。この場合、縦軸の融着量を直接測定しているわけではありません。

p.14 直交表実験を行う場合に、各行のSN比や特性値が得られるのが良いわけではありません。むしろ、半分は値が得られないぐらいの方がパラメータの寄与度の違いが明確になります。右図をご覧ください。難しすぎる問題でも、簡単すぎる問題でも構成員の実力を測ることはできません。平均値が50点ぐらいの問題が良いのです。制御因子の水準も狭いと、寄与度の違いが出てきませんので、可能な限り広く振りましょう。

p.15 品質工学を体験したことがない先輩は、直交表の各行でのサンプル数が少ないと言われるかもしれません。そんな時は、「他のパラメータの組み合わせを変えた6回の結果を用いているから、大丈夫」と言ってあげてください。

p.16 直交表実験の確認実験の利得が3db以下でも、失敗したとは思わないでください。その場合は、寄与度が小さい因子がわかったと思えば良いのです。

p.17 得られた情報は、「ロバストエンジニアリング情報」として技術蓄積しておくと、担当者が変わっても対応がしやすくなります。「固定する優先順位」を示すことは重要です。触ったり、変化させると品質が不安定になる因子を明らかにしておくのです。 品質コストも情報としておくと便利です。

本日は、ここまで。

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