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器械で対応できない部分は

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製品の加速試験では、温度を3条件変えてアレニウス式によって劣化予測することがあります。これに湿度を加えた劣化予測について「温度に加えて湿度による劣化」で方法を説明しました。今回は、実際にどのようにして湿度を変えた状態を整えるかについて説明します。

資料はこちら → 湿度

p.1 先ず、製品の輸送環境使用環境の温度・湿度について全世界にわたり調べてみました。世界の代表的な都市の相対湿度vs温度数値のグラフです。都市により、特徴が現れています。氷点下以下のモスクワ、ウランバートルあるいは札幌の湿度が高いのは、相対湿度のためです。温度が低いと飽和水蒸気圧自体が小さくなっています。p.4で説明します。冷凍庫の湿度は、相対湿度表示では60%もあるのですね。 各国の代表的な都市の温・湿度を水色の丸で相対湿度vs温度のグラフ上に並べ、さらに赤道直下の船上コンテナの値を加えるとかなり広範囲になります。そこで、赤丸9点を加速試験の検討条件として選定します。

p.2  温度を横軸、相対湿度を縦軸に座標を変換しています。0℃以下の湿度コントロールが難しいので、今回除外します。右図をご覧ください。市販されている恒温恒湿器だけでは、9点の環境を作れませんので、次ページの飽和塩溶液を利用します。青枠冷蔵庫緑枠室温赤枠乾燥機、右上の2点は市販の恒温恒湿器を用います。

p.3  種々の飽和塩により種々の湿度を作ることができます。例えば、上述の7点の赤丸は、塩化リチウム、硝酸マグネシウム及び塩化カリウムを用いた場合です。手に入れるのが難しければ、湿度が多少変わりますが、変更しても構いません。できるだけ低・中・高湿度になるよう広く設定した方がベターです。

p.4 湿度に関する加速試験を実施するためには、相対湿度飽和水蒸気圧より水蒸気圧を算出する必要があります。式を載せておきます。p.3の湿度条件の際の水蒸気圧を算出して表にまとめました。

p.5  実際に加速試験をするには、7点の試験サンプルと飽和塩溶液を入れた容器をアルミ袋に入れてシールして、冷蔵庫、室温、乾燥機に置きます。恒温恒湿器に入れる2点は試験サンプルを直接入れます。 飽和塩溶液はトレーのように面積が広いものを用いた方が湿度が安定すると思われます。

9つの条件で加速試験を行うため、冷蔵庫、室温、乾燥機及び恒温恒湿器を併用することで同時に実験をスタートすることができて、効率的でもあると思います。

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