「薬よもやま話 -植物の知恵-」「毒も薬」で取り上げたように毒も薬になります。図書館の新刊本コーナーに、通常のサイズより小ぶりで黒字に赤と金色のいかにも魔女の本らしい毒々しい装丁の「禁断の毒草辞典 ~魔女の愛したポイスンハーブの世界~」(著者:エリカ・ライス 発行所:グラフィック社)が置かれていたので借りてきました。誰も借りそうにないタイトルの本ですが。
ベラドンナやトリカブトなど有名な毒草の話は当然登場しますが、シクラメンやイチイにも毒があるのですね。シクラメンの和名は「ブタノマンジュウ(豚の饅頭)」、ヨーロッパでは「豚のパン」と呼ばれて豚が球根を好んで食べたそうです。写真を見ると、饅頭のような形をしていますね。ただ、この球根を含めて草全体に毒があるので、気をつけた方がよいそうです。皮膚の弱い方は皮膚炎になることもあるそうです。種はゴマと、つぼみはオクラと、葉はモロヘイヤやアシタバと、根はゴボウと間違えやすいので注意が必要です。乳幼児、犬猫が誤食しないように気をつけてください。
我家の生垣はイチイですが、この木にも毒があるようです。イチイの実はジャムにすることもあるようですが、種にはタキシンという毒があり、食べるとけいれんを起こすようです。微量に含まれるタキソールは抗がん活性があるので薬にもなります。 やはり毒と薬は隣合わせでした。 昔の魔女は、この辺の作用を熟知していたのでしょうね。