復習です。エントロピーSは、主に3種類の表現の仕方があります。
- 熱の場合は、エントロピーSは、Q(熱量)/T(温度)で表されます。温度T2の氷水とT1のお湯を接触させた際、お湯の熱Qが水に移動して両者の温度は一定になります。 氷水のエントロピーを、Q/T2、お湯を-Q/T1とします。お湯の-は熱を放出するという意味です。エントロピーの合計は、-Q/T1+Q/T2=Q(1/T2-1/T1)>0となります。T1>T2なので、必ず合計のエントロピーは正になります。
- エントロピーは、S=klogWとも書けます。ここでkはボルツマン定数、Wは状態数です。分子数が1個で状態2の場合はlog21、分子2個で状態2の場合はlog22=2log2、分子N個で状態2個の場合はlog2N=Nlog2と書けます。ボルツマン定数kは、上述のQ/TとlogWを一致させるための係数です。
- S=Σpln2(1/p) ここでpは確率で、ln2(1/p)は情報量です。このエントロピーは期待値と同じ意味を持ちます。コインの場合、表裏各々1/2の確率なので、情報量はln2(1/(1/2))=1ビットとなります。私は賭け事はしませんが、この式を活用するとブラックジャックは返戻率が高いようです。数学者のエドワード・ソープの必勝法という方法があるそうです。「ラスベガスをぶっつぶせ」という映画もあるようです。 賭け事はお勧めしませんが、映画は面白いかもしれません。
「テネット」という映画では、未来からから過去に逆行する際に、過去の自分とは接触するなと言われるそうです。物理の世界で反粒子と出会うと対消滅する話がありますが、そのことを言っているようです。高エネルギーの光を照射すると陽電子と電子が「対生成」しますが、陽電子は電子と衝突して対消滅します。過去から未来に向かう陽電子を未来から過去に向かう電子と置き換え可能なので、電子は未来→過去→未来とタイムトラベル可能と言われています。それにしても、エントロピーは不思議な物理量です。時間の矢と同じように一方向に進むのですから。