トピックス 生産管理

制約を認識して解消

投稿日:

ザ・ゴール」(著者:エリヤフ・ゴールドラット 発行所:ダイヤモンド社)の内容を忘れないように、資料にまとめてみました。小説なのですが、所々に数値があります。

資料はこちら → TOCとは?

p.1 TOCの継続的改善5ステップです。鎖の一部が針金で連結したモデルは、TOC理論をイメージしたものです。針金部分が、鎖全体の強度になってしまいます。この制約ポイントを見つけるのが1ステップになります。ステップ4でこの制約を解消するために知恵を絞ることになります。

p.2 「ザ・ゴール」に登場するボーイスカウトのハイキングの場面を絵にしてみました。本では、この絵の小さな男の子の代わりに、大きな荷物を背負った太ったハービーが登場しています。この子の歩く速度が遅いため、先頭はどんどん先に進み、ハービーの後ろは詰まってしまいます。この図では、お母さんが男の子に追いついてしまい、歩く速度は男の子で同じになります。「制約」は男の子で、前ページのステップ3の「他の機能が従属する」は、お母さんの歩く速度が、男の子と同じになる現象を示しています。この結果、先頭と最後尾の距離は拡がっていきます。「目的地までに全員が目標の時刻に到着したい」という目標を達成することができなくなってしまいます。

p.3 では、どうすれば目標時間までに全員が到着できるでしょうか? スカウトにも聞いてみるといろいろなアイデアが出てきます。案1ロープで4人を結べば、一定の速度で拡がらずに歩けるというアイデアです。この場合、歩く速度を男の子に合わせる必要があります。 案2男の子を先頭にします。デメリットは、歩く速度が遅くなり、目標時刻に到着しなくなってしまいます。案3:男の子の荷物を、余力のある人に持ってもらいます。これにより、男の子の歩く速度が速くなります。 今回の場合は、この方法がベストですね。 工程が繋がっている工場の場合は、制約工程を先頭に持ってくることは難しいですね。男の子が3番目にいて「制約」になっている場合は、どうすればよいでしょうか? 知恵を出す必要があります。 いろいろ方法あるかと思いますが、例えば、ボートカッターでやるように、男の子が、「1、2、1、2・・・」と号令をかけて、リズムに合わせて歩きます。

p.4 主人公の工場長は、キャンプである実験をスカウトといっしょに実施してみました。アンディー、ベン、チャック、ディブそしてエバンの5人が皿を持ち、順番にサイコロを振り、出た目の数だけ、自分の皿の上にあるマッチ棒を後の人の皿に移動させます。先頭のアンディーが振って出た目の数のマッチ棒をマッチ箱から抜き取り、次のベンの皿に移動させ、最後のエバンが振って出た目の数だけ、マッチ棒を机の上に移動させます。エバンが机の上に移動したマッチ棒の数が、工場でいうところの「スループット」に当たります。サイコロの目は1〜6なので、振って出る目の期待値(平均値)は、(1+2+3+4+5+6)/6=3.5です。アンディー〜エバンまで各々1回ずつ振ったのを1サイクルとします。10サイクル回した際の、スループットの合計は、3.5[本/回]✕10回=35本と推測されます。この実験では、出た目の数と平均値3.5の差スコアとして記録していきます。左表のが1サイクル目の各人のスコアです。このスコアが平均値3.5からの変動を表しています。

p.5 左表の2サイクル目のスコアです。1回めのスコアが加算されています。10サイクル終了の実際のスループットは赤枠の合計で20本でした。予測の35本に達成せず、各人の皿の上にはマッチ棒が在庫として残っていることがわかります。各工程の生産能力統計的な変動(今回は、アットランダムなサイコロの目)がある場合に、スループットがどうなるかというシミュレーションゲームでした。統計的であれば、平均的な3.5のところでばらつくはずですが、左表を見ていただければわかるように、後工程にいくほどスコアのばらつきが大きく、しかも、3.5から離れていくことがわかります。「複数の変数で構成される一次依存において、変数は直前の最大偏差を基準に変動する」が上述のばらつきが大きくなる理由です。数学で「共分散」は、2つの変数の偏差の掛算で表されます。つまり、今回の実験の場合、最後尾のエバンのばらつきは、前の4人のスコアのばらつきの掛算になります。ばらつきが後ろに行くに従い増幅されていってしまうわけです。

-トピックス, 生産管理

Copyright© 進化するガラクタ , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.