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医療も需要・供給の関係

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先週に引き続き、医療経済の話です。資料をご覧ください。

資料はこちら→ 医療経済その3

p.1 患者と医師のプリンシバル・エージェント関係」を図にしてあります。患者と医師との関係を示しています。医師側の情報量は患者より大きいので、非対称な関係にあります。先日紹介の本「医療の経済学」に事例が書いてあったのですが、文章なので理解し難いため、表にまとめてみました。上表は治療が成功・失敗に関わらず医師には固定報酬する場合、下表治療が成功の場合に報酬を多くする場合です。何れの場合も治療が成功する場合と失敗する場合があります。医師が努力する場合は治療が成功努力しない場合失敗とします。本では「最初の利得」ではなく「利得」と書いてあるのですが、意味不明なので、「最初の利得」としました。勝手に解釈すると、成功と失敗に対する重み付けではないでしょうか? 上表は固定報酬なので、成功・失敗問わず一律20万円とします。医師に報酬を支払うとマイナス20万円で患者の最終の利得は、成功・失敗問わず0万円です。一方、医師側は努力する場合は10万円治療に費用をかけるのでマイナス10万円となります。固定報酬の場合は、努力しない方が医師は利益を得るのです。 成功報酬の場合は、最初の利得の半額を報酬としてもらいます。成功と失敗では最初の利得が異なります。この場合、患者の最終利得は、もちろん成功の方が25万円と失敗の10万円より大きいです。医師の場合は、努力して成功した方が15万円となり、努力しないで失敗する場合の10万円を上回ります。つまり患者と医師いずれもWinWinの関係になります。医師も人間ですから、成功を認めてもらって報酬が多い方がよい訳です。 私の解釈も入っていますが、表にまとめてようやく理解できたような気がします。

p.2 コロナ禍で病床が足りないと言っていますが、政府は病床数を適正な数に減らそうと画策?している可能性があります。右図をご覧ください。横軸が人口10万人当たりの病床数縦軸が一人当たりの老人医療費です。上述の本では、縦軸全ての医療費でしたが、厚労省のサイトでデータが見つからなかったので、載せておきます。傾向は一緒です。つまり病床数が増えると医療費が増えます。当たり前といえば、当たり前です。それだけ医療スタッフや維持費が嵩むわけですから。左上図をご覧ください。日本は世界中でもずば抜けて病床数が多いのです。 左下図都道府県別の医療費を棒グラフにしたパレート図です。多い方から、福岡、高知、長崎、佐賀、北海道・・・・静岡、千葉、長野、新潟の順に並んでいます。東京が丁度平均です。中心極限定理に従えば、人口が多い東京が平均になるのは当然かな? 右図で印をつけてみました。東京の医療費平均ですが、病床数は平均以下で不足気味のようです。コロナ禍で福岡の病床数がひっ迫していましたが、なぜなのでしょうか? 病床数はそれなりにあるのに。 医療費の多い少ないは、直ぐ病院に行く行かないなどの県民性もあるのでしょうか?

p.3 左図をご覧ください。横軸医療サービス縦軸医療費です。 保険制度の経営者である政府は、医療費上げる方向に、患者医療費を下げる方向を目指していますが、限界費用で妥協することになります。 右図をご覧ください。 患者の需要(D)医療サービス側の供給(S)の線が描かれています。最初は、D1S1交点E1にいたとします。病院や医師が増加すると供給線がS2になりE2の状態になります。医療費が値下げになると医療サービス側の経営が悪化するので、検査回数、投薬量あるいは受診回数をアドバイスして需要を増加させます。すると需要線がD2に移動してE3の状態になります。今度は医療費が増加します。現在の日本は、この状態に陥っているのではないでしょうか? こんなに薬が必要なのかと思うほど処方箋を書いてもらいます。

今回、経済という観点で医療を見てみると、見直さないといけないことがたくさんありそうです。 もう少しこの話題が続くかもしれません。

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