例えば、部品A(平均寸法1、標準偏差1)と部品B(平均寸法5、標準偏差1)を合計した組み立て品の分布はどのようになるでしょうか?
資料をご覧ください。 → 2つの分布
Excelファイルも併せてご覧ください。 → 2つの分布
p.1 左図は(平均寸法1、標準偏差1)と(平均寸法5、標準偏差1)の正規分布になるように乱数で各々100個のデータを発生させた場合のヒストグラムと正規分布曲線です。 右図は、各々の正規分布の確率に0.5を掛けて単純に合計したものです。2つ山の分布図になりますね。 これが上述の答えでしょうか? 違います。以下に説明していきます。
p.2 ①が今回の場合のAとBの確率分布です。合計した分布が②です。平均値は各々の平均値の和です。 分散は加法性がありますので、各々の分布の標準偏差がσの場合、合計した分布の分散はσ2+σ2=2σ2となり、標準偏差はその平方根√2σになります。 母集団よりAとBのサンプルを抜き取った場合、標本の平均値xbarの平均は2μ割る2でμ、標準偏差の平均は√2σ割る2でσ/√2の分布となります。サンプル数を増やしていくと、平均はnμ割るnでμ、標準偏差は√nσ割るnでσ/√nとなります。これが中心極限定理です。
p.3 上述の①と②の手順で、部品A(平均寸法1、標準偏差1)と部品B(平均寸法5、標準偏差1)の合計した組み立て品の分布を計算してみます。ExcelファイルのD列とE列が部品AとBの寸法なので、合計寸法をF列に計算します。
合計寸法の平均値は6.052、標準偏差は1.353と計算されました。このグラフが左下図の赤曲線となります。この赤曲線の平均した分布が緑曲線となります。
p.4、5 以上を踏まえて寸法公差が平方和の平方根になることが理解できると思います。寸法以外では、測定器の測定誤差も平方和の平方根で計算しています。以前のブログ「平方和の平方根」もご覧ください。
分散は加法性が成り立つことをイメージできるようなると、世の中の事象がその法則によって成り立っていることが理解できるようなってきます。