「数学の力」(著者:小山信也 発行所:日経サイエンス)の一部を紹介します。「高校数学で読みとくリーマン予想」という副題があったので、図書館の新刊本コーナーから借りて来て読み出したのですが、とても歯が立たない内容です。高校数学を大幅に超えた内容でした。 それでも、まだ解明されていないリーマン予想とは何かだけは知っておこうという思いから流し読みしてみました。
資料をご覧ください。誤った解釈があれば、お許しください。 → リーマン予想
p.1 先ず、問題を3問。各々の総和はいくらになると思いますか? 常識的に考えると間違えるものがあります。
p.2 数学者のリーマンさんは、素数の規則性を解明しようとしていました。左下に書いたように、素数は桁数が増えると稀少になってくるので、素数の和は収束するのではないかと思われますが、無限大になるそうです。 これを研究している際に、ゼータ関数の性質を予想しました。 右図をご覧ください。複素平面です。実軸(横軸)の負の偶数と1/2の直線状にζ(s)=0となる零点が存在すると予想しています。 ζ関数のΣ(1/ns)は和ですね。Π(1/(1−p-s)は積です。ζ(s)=0ということは積の部分が因数なので、各々の因数が0となる解が存在するということです。この解より素数が求まることをリーマンさんは狙っていたのでしょう。 このゼータ関数はs>1で収束するのですが、「解析接続」という手段を用いてs≦1の範囲にも拡張できるようなのです。この解析接続が難解です。
p.3 s=1の時、ゼータ関数を展開すると、左辺は和の形、右辺は素数を含んだ積の形になっています。s=2のときは、π(パイ)が関係してきます。さて、s=-1の場合は、1+2+3+・・=-1/12になってしまうのです。 常識的には∞ですよね。
p.4 -1/12を導く前に、等比級数の和を考えます。1+1/2+1/4+・・・はいくつになるでしょうか? 右図を見ると2に収束しそうですね。S-S/2を用いて計算していくと2が導かれました。 一般式で書くと、和は1/(1−r)です。上の図と式をご覧ください。式の左f(x)のrの絶対値は1未満ですので、複素平面上では水色の円内の制約があります。右g(x)はr=1で発散しますが、それ以外の複素平面で適用可です。つまりg(f)の集合にf(x)の集合は含まれます。広い範囲の関数を用いることを「解析接続」と呼びます。
p.5 S=1+2+3+4+・・・は通常∞ですが、ゼータ関数ではS=-1を代入すると-1/12になります。S-4Sの式を変形していくと1−2+3-4+・・となります。この等比級数の和は1/4ですので、S=-1/12が求められました。
p.6 一番目の式では、ゼータ関数を解析接続して拡張した場合の解が-1/12 となります。 2番目の式は、∞になることが証明されています。3番目は2より小さいところに収束することが証明されています。2番目と3番目の数列を比較してみてください。3番目は、2番目の赤枠だけの数列ですが、∞と2以内の差が生じるわけです。2番目が大きな無限大、3番目が小さな無限大と呼ばれているそうです。 無限大にも大きさが存在するのですね。
ゼータ関数は2年前にも「神秘的な数式」で取り上げていました。
今回、難しい数学は避けて来ました。リーマン予想は、最近物理学分野からのアプローチもあるそうです。素数の出現頻度と原子エネルギーに相関があるという話もあります。 そうなると宇宙の深遠さに近づいていくのでしょうか?