今日は品質管理によく用いられる「管理図」について説明します。過去にブログで取り上げたと思っていたのですが、「変化には早く気付きましょう!」で少し説明しただけでしたね。 QC7つ道具の講義の中で聞かれた方が居られると思いますが、復習を兼ねて2回に分けて説明します。1回目は管理図の作成方法、2回目は統計ソフトMinitabでの実行例について説明します。
説明資料はこちら → 管理図その1
p.1 過去ブログの資料を再掲します。棒の長さの規格が5.00±0.40mmです。1時間毎に検査した結果が右の表です。規格内か否かを判定しているだけであれば、16時間後に不合格になってしまいます。
p.2 表をグラフに描いてみるといかがでしょう? 下降していくのが見える化できますね。研修時には、アニメーションにして1点ずつ出して、どの時点で注意するか聞いてみます。
p.3 以下の資料は、QC7つ道具の資料の一部を抜粋しています。暑いので、少し手抜きします。管理図はグラフに描くだけでなく、安定状態にあるか否かをUCL(上方管理限界)とLCL(下方管理限界)をアラートとしてグラフ上に描いています。
p.4 管理図は、データにより計量値と計数値に分類され、分布形状に合わせて種々の方式があります。今回は、よく利用されているXbar-R管理図について説明します。
p.5 検査品の直径を1回に5個サンプリングして20回測定した結果です。1回ごとに平均値と幅(最大値-最小値)を算出し、平均の平均値Xdoublebar、幅Rの平均値Rbarを各々算出します。全てのデータの不偏標準偏差σも算出します。
p.6 Xbar管理図とRbar管理図を描きます。 各々のUCLおよびLCLを算出する計算式にXdoublebar、Rbar及び右下表で求めた係数を代入して算出するだけです。係数は、1回のサンプリング数(今回はn=5)の行を見てください。以下のExcelに係数表を入れておきました。係数を忘れた場合は、全データの不偏標準偏差σをその数nの平方根で割った数字に3倍することで、ほぼ同じ値を得ることができます。 時には、単純に不偏標準偏差を3倍してUCLやLCLを設定する場合もありますが、管理幅が拡がるので、甘くなります。
Excelファイルはこちら → 管理図1
p.7 Xbar管理図です。
p.8 Rbar管理図です。
p.9 UCL及びLCLに3σを利用する場合は、製品の上下限規格幅内に6σが入るようにしたいものです。以前に「シックスシグマ(6σ)」を目指すという経営概念が流行ったことがありました。この場合は、±6σ相当ですのでかなり厳しい品質管理となります。
p.10、11 管理図の見方を書いておきます。 JISの品質管理でも規定されていますが、中心線(CL)から片側に7点、同方向に連続推移、周期的などを手順として決めておくと良いと思います。
品質管理の皆様は、是非、日頃のデータを管理図にして監視していて欲しいと思います。「予防品質」が重要です。