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ジャングル上空の雲のよう

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過去ブログ「おしゃべりな臓器はどれ?」と似ていますが、「おしゃべりな糖」(著者:笠井献一 発行所:岩波書店)を紹介します。生体内でのタンパク質の活躍は話題に上りますが、今回は糖質にスポットが当てられています。

資料はこちら → おしゃべりな糖

p.1 核酸タンパク質一次元的な結合であるのに対して、2次元的な結合になります。バーコードに喩えるとQRコードにあたります。単糖は、凸部が1箇所、凹部が4箇所あるため、結合の組合せがいくつもあります。

p.2,3 核酸やタンパク質は遺伝子が設計図となり、DNAポリメラーゼリポソームのような合成装置オートメーション的に合成されますが、糖鎖糖転移酵素がいくつも存在して、各々の職人現場監督無しに繋げていくようです。 セラミドと繋がった糖脂質、タンパクと繋がった糖タンパク、そして長い糖鎖タンパク質が結合したプロテオグリカンがあります。 コンドロイチン硫酸もプロテオグリカンの1種です。 このプロテオグリカンは、細胞を細菌やウィルスから保護したり、潤滑物質などの重要な役割をしています。細胞膜表面には糖鎖の枝がたくさん生えており、ラフトがところどころに「いかだ」のように停泊しています。このラフトにタンパク質が集まってきて情報のやり取りをするようです。細胞の表面には糖脂質が木がたくさん生えてジャングルようです。一方、プロテオグリカンは、ジャングルの上の雲のよう存在です。

血液型は、A、B、ABそしてO型がありますが、この違いは赤血球表面についている糖コードが異なるためです。1個の赤血球表面には糖タンパク糖脂質1億個あり、その内の100万個に糖コードがついています。ガラクトースはどの血液型もありますが、A型には、N-アセチルガラクトサミンフコースB型には、ガラクトースフコースAB型両方が混在O型フコースのみがついているようです。ガラクトースにこれらの糖を繋げる酵素を持っているかいないかで血液型が異なるようです。O型がサル等に似ているので、最初にできたかと思ったら、A型が最初で、次に突然変異でB型ができ、O型はA型酵素の遺伝子が壊れてできたそうです。4つとも比率はそれほど変わらないとのこと。 血球に糖コードがある理由はご存知ですか? この血液型は粘液のムチンというタンパク質にもあります。 ウィルスが粘液の糖コードにトラップされれば、体外に排出し易い。核を持たない赤血球にウィルスがトラップされても増殖できないので、被害が少ないと推定されています。 防御システムも上手くできていますね。

糖コードを読み取るのは「レクチン」です。ただこのレクチンは、病原菌、ウィルスや毒素にも含まれているので、悪用されるとひどい目にあいます。ウィルスのレクチンヘマグルチニン)が標的とする糖コードは、シアル酸を末端に持つものです。鳥や馬を標的にするウィルスはシアル酸がガラクトースのC3のOH基にα結合したもの(3-シアル酸)で、ヒトを標的にするウィルスは、ガラクトースのC6のOH基にα結合したもの(6-シアル酸)です。ヒトは、呼吸器の上部にこの6-シアル酸を多く有しているので、吸い込んで直ぐ感染してしまいます。3-シアル酸は持っていないので、鳥ウィルスは感染しません。突然変異3-シアル酸が6-シアル酸に変わると、ヒトも鳥ウィルスに感染してしまいます。 ブタ3-シアル酸と6-シアル酸両方持っているので、鳥の3-シアル酸から変異した6-シアル酸も含めてヒトに感染する確率は非常に高まります。 今中国でコロナウィルスが蔓延し始めていますが、特にブタは要注意です。

 

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