「美味しい進化」(著者:ジョナサン・シルバータウン 発行所:インターシフト)という本を紹介します。 人間、動物、植物及び食物の進化を題材にしています。 人類はアフリカを起源にして、ヨーロッパ、アジア、北アメリカそして南アメリカに拡がっていくようです。いつから人間は料理をするようになったか? ウシ、ブタ、ニワトリの進化、コムギなどの穀物、トマトなどの野菜、チーズやアルコールの進化など広範囲に書かれています。
この本を読んでいて、ウィルスや病原菌がアフリカから発生して全世界に拡がっていくのと人類が拡がっていくのと似ているような気がしています。なぜアフリカからなのか? 植物は虫に捕食されないようするために毒を出すよう進化し、虫は虫で毒に耐性があるように進化しているようです。人間はというと、植物の毒を嗜好品として楽しんでいます。キャベツ、からし菜やワサビに含まれる「グルコシノレート」は、辛味の「イソチオシアネート」を生成します。蝶は当初この毒を嫌っていたようですが、解毒システムを持つよう進化し、キャベツの葉を幼虫が食べれるようになりました。そうなると植物もさらに防衛のためのシステムを構築する必要がでてきます。 植物の防衛物質は香辛料、抗菌剤あるいは医薬品としても利用価値があります。以前のブログ「薬よもやま話 -植物の知恵-」をご覧ください。タマネギやニンニクは2つの部屋に別の化学物質があり、すり潰すと反応し、タマネギの場合は涙がでますね。 種をまいてくれる鳥はトウガラシを辛く感じませんが、種を消化し砕いてしまう動物には辛く感じるようです。植物は、動けない分頭を働かせてよく戦略を練っています。
果実に含まれる果糖を喩えるとは、動物を種子の輸送手段にするためのタクシー代だそうです。ジュースに含まれるショ糖はブドウ糖と果糖に分解され、ブドウ糖は代謝されやすいのですが、果糖は肝臓でしか代謝されないそうです。また、果糖は満腹センサーで検出できないため、インシュリンが働かずに、もっと食べたくなりメタボリックシンドロームになってしまいます。ブドウ糖単体摂取の方が体によさそうです。 ジュースの飲み過ぎには気を付けましょう。私も若い頃、体に良いからといって毎日のように、オレンジジュース500mLを飲んでいた時がありました。怖い怖い!!
この本には書かれていませんが、最近食物アレルギーの子供が増えてきているような気がします。 植物は生きるために、どんどん進化しているにもかかわらず、人間の遺伝子が昔のままで変わらないことに原因があるという説(下記資料)があります。アレルギーがあるから食べさせないよりは少しずつ食べて耐性をつけさせた方が良いとも書いてあります。スギ花粉でも、薄めた花粉エキスを何回か注射するとアレルギーが治るという治療法を聞いたことがあります。現代人は、過保護過ぎるのかもしれません。動植物たちは生き延びるために切磋琢磨しているのに、人間は安穏とし過ぎているのではないでしょうか?
資料 → http://www009.upp.so-net.ne.jp/tatsuo/allergy_rekisi.html
人間の遺伝子は進化しているのでしょうか? 退化する方向や絶滅危惧種に向かっていなければよいのですが。