本日も「ラグランジュの未定乗数法」に関する話です。最近、同じ話題が続くことが多くなりました。くどいと思われ方が居られると思いますが、一つのこともいろいろな観点から見て欲しいのです。本日は、ベクトル的な見方でイメージを膨らませて欲しいのです。このベクトルの考え方ができれば、マトリクス計算が可能となり、複雑な曲面や機械学習にも利用できるようになります。
資料ご覧ください → ラグランジュの未定乗数法その3
p.1 「制約条件x+y=1の下で、f(x,y)=(x2/4)+(y2/2)の最大値を求める」という課題です。昨日までのブログをお読みの方は、「ラグランジュの未定乗数法」を利用して簡単に求めることができると思いますが、今回はベクトルで考えてみます。昨日の資料にも既にでていました。 先ずf(x,y)の法線ベクトルを算出してみます。法線ベクトルとは、この曲線に接線を描いた際に、この曲線に直交するベクトルです。 f(x,y)=ax+by+cという直線では(δf/δx,δf/δy)=(a,b)が法線ベクトルの成分になります。f(x,y)=(x2/4)+(y2/2)の法線ベクトルの成分は(δf/δx,δf/δy)=(x/2, y)となります。曲線上の位置によって、法線ベクトルは変化することがわかりますね。 次に制約条件g(x,y)=x+y-1=0の法線ベクトルを算出すると(1,1)です。
p.2 ラグランジュの未定乗数法では、f(x,y)=λ・g(x,y)となるλを求めました。昨日、等高線が一致するとしましたが、等高線が一致するとはその等高線の直交する法線ベクトルの方向は一致しなければなりません。 そこでgの法線ベクトル∇gをλ倍したものがfの法線ベクトル∇fなるという式、∇f(x,y)=λ・∇g(x,y)式を作ります。昨日の標高のところと同じ考え方です。因みに∇はナブラと読みます。この式より、λ=1/3が得られ、x=2/3、y=1/3が算出できます。 左下図が楕円の大きさを調整してx+y=1の直線に接した絵です。直線の法線ベクトルの3分の1の長さが楕円の(x,y)=(2/3,1/3)の座標における法線ベクトルになっています。
いかがでしたか? 昨日より、少しスッキリしませんか? これは多次元にも拡張可能ですので、応用範囲は拡がっていきます。 是非、皆さんも一つの事象をいろいろな視点から見る癖をつけていってくださいね。ひとまず、ラグランジュの未定乗数法の話はここまで。また応用事例が見つかりましたら、お知らせします。 ある目標(山の標高、位置)に向かって最適な仕事を成し遂げるには、いろいろな方々の目標に向かうベクトルを合わせ込む必要がありそうです。数学的にも。