「化学実習」シリーズの最後は、「試薬の安全性」です。 大学2年か3年頃の化学実験の際に、白衣を着て実験していました。 数日後、白衣の腰の辺りが黒く焦げたようになっていました。実験ノートにも黒いしみがついていたのです。その当時は、あまり気にしていなかったのですが、後で考えてみると、硫酸が付着していたと推測されます。塩酸、硝酸は揮発酸、硫酸は不揮発酸という知識はあったのですが、実態とリンクしていなかったのですね。 その後、不揮発酸は怖いということがわかりましたので、研修生にも伝えておくことにしました。 最近の安全教育は、知識だけしか与えないので、その「危険さ」が実感できないのではないかと思います。
資料ご覧ください → 試薬の安全性
p.1 上半分は、学校で教える硫酸を希釈する順番の復習です。水に硫酸を静かに入れて希釈します。 逆は、水が沸騰して飛び散る危険があります。 下半分は、不揮発酸のため、セルロース系は黒く炭化します。 薄めてある希硫酸を、ペーパーで拭き取ったとします。 水は蒸発しますが、不揮発酸の硫酸はペーパーに残り、セルロースであるペーパーを炭化します。そのままゴミ箱に捨てたらどうなるでしょうか? 火事になるかもしれません。 紙等に希硫酸といえども付着させない。付着した場合は、流水で洗い落とすことが必要です。 体に付着した場合も、流水で十分洗い落としましょう。
p.2 実際に実感してもらうために、2つの実験を見てもらいます。1つは紙、2つ目はブドウ糖に硫酸を滴下して観察します。 黒く変色してきます。
2番目はYoutubeの動画をご覧ください。危険なことがわかります。 → https://www.youtube.com/watch?v=aDLIQRWziNQ
p.3 硫酸以外にも危険な薬品は多数あります。 フッ化水素酸は皮膚を浸透していき骨を溶かすので要注意です。水酸化ナトリウムやアンモニアのようなアルカリはタンパク質を溶かすので目に入った場合は、直ぐに水で洗い落とします。 これ以外にもケミカルハザード品は種々ありますので、ご注意のほど。