「天然染料の科学」(著者:青木正明 発行所:日刊工業新聞社)を紹介します。 家内が以前染色していた際に、綿は絹や羊毛に比べて染色され難いということを耳にしたことがありました。 本書を読んでみて、納得しました。 絹や羊毛は動物由来のタンパク質ですので、種々のアミノ酸が結合したものですね。アミノ酸にはカルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH2)のほかにいろいろな官能基が出ているので、染料と結合しやすく、綿はグルコースが繋がったもので、水酸基(-OH)ぐらいしか反応サイトがないので、染料が結合し難いのです。 そう言われてみれば、確かにそうですね。 なので、媒染(金属イオンを介して染料を結合させる)が必要になるわけです。媒染には、ミョバンが良く使用されますが、ミョウバンの中のアルミニウムイオンは染料の色合いを変化させずに定着効果があるそうです。 先人は、経験的に金属イオンの力が結合力を増すことを見つけるのです。素晴らしい!
古代日本には、色は「あか」「くろ」「しろ」「あお」しか区別がなかったようです。「あか」は明るい色という意味で、赤、黄、オレンジ色、「くろ」は暗い色全般で、黒、茶色、グレー、紫など、「しろ」は「白」と「素」の意味があり後者はナチュラルカラーでベージュのような色だったそうです。因幡の白兎は「素兎」と原文に書かれていたので、ベージュの兎だったかもしれません。「あお」は「あか、くろ、白」以外の青、緑のことを指したようです。 その後、茜色とか鶯色など世界のどの国よりも種々の呼び名の色が出てくるのです。 ただ、昔の名残で緑を青と呼ぶ習慣が残っていますね。
化学出身ですが、染料について改めて、いろいろなことを知り新鮮な気分です。 明日はもう少し詳しく説明します。