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転置行列の意味が少しわかりました

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以前のブログ「有限要素法の中身」の説明の中で「転置行列」がでてきました。この意味をいろいろ調べたのですが、当たり前のことなのか、なかなかヒットしませんでしたが、漸く手掛かりになる資料を見つけました。 探し方がまずいかもしれませんが、世の中の参考図書には、結構この類のことがよくあります。原理的なことが書いていないのです。 知っていることを前提に書いているのかもしれません。

資料をご覧ください。 → 転置行列

手掛かりの資料はこちら → https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file5397a06950068.pdf

転置行列」とは資料の右に書いてあるように、行と列を入れ替えた行列です。右肩に転置を意味する「T」(Transposed matrixの頭文字)です。 数学的には種々の性質があるようです。その一つが、ベクトルの内積として利用されます。ベクトルaとbの内積は成分同士の掛け算の和です。 行列の掛算とは違い、結果はスカラー量つまりベクトルのような方向性を持たない大きさの数値を表します。 ベクトル量をスカラー量に変換する数学的な処理方法という意味合いもありそうです。つまり、Aという行列はがいくつかのベクトルの集合だとします。それに対してBの行列はがいくつかのベクトルの集合だとした時に、A行列にB行列の転置行列を掛けるとスカラー量になるのです。

有限要素法の中で求めたいのは応力σが負荷されてεだけ歪んだ際の仕事量の和です。応力σと歪εベクトルで仕事量は内積σ・ε=lσllεlcosΘとなります。 この内積とは何か?が次の疑問ですね。内積のイメージを上手く説明しているサイトを見つけました。

内積のイメージ → http://naop.jp/topics/topics14.html

ヨットの進行方向に対して及ぼす風の効果が「内積」の意味になります。ヨットに直角の風であればcos90°=0になってしまうので、ヨットに対する力は働きません。品質工学の「直交表」や相関係数0の場合がこれに当たります。実際のヨットの場合とは違いますが、風が進行方向と同じ方向の場合、一番風の力を受けて進む。つまり仕事量が一番大きくなります。内積は、この仕事量の大きさを表しているのです。 実際のヨットは、確か進む方法に対してある角度を持った風に対して力を得るので、喩えとして適さないかもしれませんが。この喩え話は内積のイメージとして理解し易いと思います。

もう一つ、資料の右中ほどを見てください。行列Aとその転置行列ATの積は、成分の「平方和」になるのです。 「平方和」は、分散、品質工学、ユークリッド距離などによく登場してきますので、個人的には面白みを感じました。

転置行列の意味、少しわかったような気がしてきました。さらに深く理解できましたら、また報告します。

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