品質工学のデータ処理の際に、皆さんが行いがちな間違いがあります。 統計処理を気にし過ぎるのか、複数のデータがあると「平均値」と「標準偏差」を計算する癖がついていませんか? 平均値と標準偏差を算出して安心していませんか? 分散分析においても確かに平均値は計算していますが、それは全体の平均と比較して効果がどれだけあるかを評価する手段として用いています。折角取得したデータを平均値1つにまとめてしまうのはもったいないのです。情報がなくなってしまいます。次の資料をご覧ください。
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p.1 昨日説明したシールしたフィルムのピール強度測定結果が左上図です。 この図が、右上、右下あるいは左下のようなチャートで得られたとします。平坦部のデータの平均値を算出して代表値すると、何れも同じ値になってしまいますが、この3つは挙動が異なりますね。変動が小さいもの、右肩下がりのもの、そして変動が大きいなどの情報は活かしてデータ解析できるのが品質工学的手法なのです。SN比のSが平均値とするとNは、この変動分に相当します。両方を評価する必要があることは理解していただけますね。 平均値だけでは、真の状態を反映できていないのです。
p.2 品質工学では、複数データがある場合、全て用いて解析します。折角取得したデータは無駄にしないようにしましょう。