「歩くと心が軽くなるのはなぜか」(著者:元水拓郎 発行所:ちくま新書)を読み始めました。本書は、「歩くと脳に良い物質が出る」といった医学的・機能的なアプローチではなく、臨床心理の現場での対話や思索を通じ、散歩という曖昧で目的のない営みが、いかに私たちの傷ついた心をほぐし、自己や世界と結びつけ直してくれるかを説明してくれます。高校生は大学受験、社会人は生活していく糧を得るために「休めない」「常に生産性を求められる」など「何か意味のある成果を出すこと(doing)」ばかりに価値を置き、「ただそこに存在すること(being)」を軽視しがちです。例えば、休息することにすら罪悪感を抱いてしまいます。「散歩」は、doing(目的を持った行動)とbeing(ただ存在する状態)のあいだをふらふらと行き来する行動のようです。あるいは「いま、ここ」を味わうと同時に、過去の記憶や未来の想像の間を自由に行ったり来たりもします。哲学者など、頭を使う人ほどよく歩いています。歩くことで異なる思考や感情、外部の風景が頭の中で「交配(ミックス)」され、新しい気づきや創造性、心の整理がもたらされるようです。哲学者の西田幾太郎氏が散歩して名付けられた「哲学の道」が京都にあります。観光スポットにもなっています。機会があれば、散歩してみたらよいかと思います。
京都にある「哲学の道」 → https://www.gltjp.com/ja/directory/item/13501/