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恣意的にしないために

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同等性試験については「違いがありました」で説明しましたが、注意点が2つあるので、補足説明しておきます。

資料はこちら → 同等性試験比較

新薬の薬効は既存薬の薬効に対して有意である」ことを証明したい場合、これを対立仮説にし、「新薬の薬効は既存薬の薬効と等しい」を帰無仮説にして「有意差検定」を実施します。ケース1ケース2のようなデータがあったとします。新薬及び既存薬各々にサンプルサイズn数薬効の平均値及び標準偏差のデータがあります。有意差検定として、対応がないt検定(ウェルチのt検定)を用いる際のを右側に、その結果を表中に示しています。新薬と既存薬の標準偏差サンプルサイズを用いて「標準誤差」を算出し、新薬と既存薬の平均値の差を標準誤差で割って、t値を算出します。自由度はかなり複雑な式で計算します。p値は、Excel関数「T.DIST.2T(t値,自由度f)」で求めます。ケース1及びケース2いずれもp値は0.05以上ありますので、帰無仮説は棄却できません。したがって、「新薬と既存薬の薬効に有意差があるとは言えない」という検定結果となります。 次は、新薬がジェネリック薬で、「新薬の薬効は既存薬の薬効と同等である」ことを示したいとします。この場合、有意差検定は使えないことになっています。以前のブログで示したように、「同等性試験」で評価します。「新薬と既存薬の薬効の平均値の差」について信頼区間を算出し、予め設定した同等性マージンの範囲内にあるか否かで判定します。信頼区間の上限値=(平均値の差)+(t境界値(両側))×(標準誤差)、信頼区間の下限値=(平均値の差)−(t境界値(両側))×(標準誤差)で求めます。同等性マージンが±0.5の場合は、ケース1及びケース2いずれも新薬と既存薬の薬効は同等であると判定します。同等性マージンが±0.2の場合、ケース1: 新薬と既存薬の薬効は同等ではないケース2: 新薬と既存薬の薬効は同等である のように判定が分かれてしまいます。 以上のことより、2つの注意点を記しますので、試験の計画時に文章として明記しておく必要があります。同等性マージンやサンプルサイズで恣意的に判定することを防止しなければいけません。

①同等性マージンにより判定が異なるため、試験前に同等性マージンの妥当性を明記する必要があります

n数が大きいほど標準誤差が小さく、信頼区間が狭くなりますので、サンプルサイズの妥当性を明記する必要があります。

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