トピックス 実験 研修

久しぶりの「緑の炎の滝」

投稿日:

感性を鍛える」コーナーも、あと1回になりました。今回は、7~8年前に実施したことがある化学系の実技演習の資料を基に説明しました。この中で、「緑の炎の滝」を実演しました。ここ何年も実演していませんでしたが、私は新人研修は今年最後なので、久しぶり行いました。着火に手間取りましたが、なんとか見せることができ満足しています。昔、キャンプファイヤーで実演した思い出が蘇りました。実技演習のテーマに関連するブログのアドレスをリストアップしておきます。

資料はこちら → 化学系実技まとめ

p.1 実習の流れです。

p.2~12 電子天秤の計測に与える影響は、種々あります。例えば、静電気、風、緯度、気圧の影響を受けます。エアコンの吹き出し口近くにフードが無い電子天秤を設置しない方が賢明です。台風接近でもわずかですが影響を受けます。緯度が異なる地域に電子天秤を移設する場合は、注意が必要です。

p.14~20 pH電極使用上の注意点です。

p.15~38 pH電極を校正する際に用いる緩衝液の原理を理解していただき、実際に緩衝液を調製後、酸アルカリを添加してpHが変化しないことを体感してもらいます。リン酸緩衝液を作製する際に、酸解離定数の式を用いて計算すると、7.21になりますが、市販のリン酸緩衝液には6.86と表示されています。この差異については、ブログ(https://evolvingbook.com/2018/04/26/buffer-capacity/)で説明しているように、イオン強度で補正する必要があります。最近は、薬品の秤量に薬包紙は使用していないようですね。

p.39 工程内で黒色異物が発見された場合、どのように分析するかについて、ツリー図で説明しています。種々の方法はありますが、基本は酸に溶かして分析します。

p.40 黒色異物が鉄かどうかを定性的に判別するには、フェリフェロ反応を利用してプルシアンブルーによる青色の呈色の有無で判定します。

p.41 昔は、製品に付着していた毛髪滅菌前か滅菌後に混入したかを調べるために、カタラーゼ反応を用いた過酸化水素液中の気泡確認を利用していました。

p.42~45 物質を分離するクロマトグラフィーの説明です。黒の水性インクを細長い濾紙の先端付近に付着させ、ペットボトル内の水で展開させます。展開すると黄色などの色に分離してきます。簡単にできますので、試してみてください。ペーパークロマト用の濾紙が最適ですが、無ければ、濾紙であれば代用できます。もしかすると、コヒーのフィルターやキッチンペーパーを短冊状に切ってもできるかもしれません。

p.46~47 原子吸光分析の原理を説明しています。高校で習った「炎色反応」を用いています。

p.48 ここで「緑の炎の滝」の実験を行いますが、その前振りとして、ステアリン酸は液体ですか?と研修生に問いかけます。 と聞くと、塩酸、硝酸、酢酸硫酸のように液体を連想しますが、融点が69.6℃なのでステアリン酸は固体です。ステアリン酸、ホウ酸(これも固体)に燃料用アルコールを加えて、70℃以上の湯煎で溶解させ、冷却すると、ロウソクのように白い固形物になります。暗闇で、この固形物にチャッカマンで火をつける緑色の炎になります。どろどろに熔けた液体を別の器に高い所から流れ落とすと緑色の滝のように見えます。久々に実演しましたが、なんとかできました。

p.49~50 脱酸素剤がどれほど酸素を吸収するかの実験です。

p.51~52 透明な異物を検知するために、偏光フィルムを用いた実験です。紙コップの底偏光シートを貼ったものを2個作り、間にセロハンテープを貼った透明シートを入れます。1個の紙コップを回転させると、いろいろな色に変化します。

p.53 微生物の増殖速度を測る実験です。パンの生地を発酵して体積が増えることを確認しました。研修中にパンを焼いて食べこともありました。あの頃は、楽しくなる研修はないかとよく考えていました。

p.54~56 硫酸は不揮発酸なので、危険なことを伝えます。砂糖に硫酸をかける実験をしたいところですが、会社では無理なので、以前は紙の上に垂らして実験しました。砂糖に硫酸滴下の動画がありますので、ご覧ください。

p.57~63 ダイラタンシー、色が変化する液体、夏に雪が降る実験、炭電池など、過去にはいろいろ実験して見せてきました。

p.64~66 番外編として、危ない実験の動画サイトを載せておきます。p.65、66の実験も実演したかったのですが、火災報知器が鳴るといけないので、断念し、自宅で実験してみたのがp.66の写真です。

-トピックス, 実験, 研修

Copyright© 進化するガラクタ , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.